裁判員候補者への通知

裁判員候補者への通知

従業員の所に、「裁判員の候補者に選ばれた」という通知が届いたそうです。どうすれば良いでしょうか?

裁判員の候補者に選ばれただけですので、今の段階では裁判所に出向く必要はありません。裁判員に選任されたりして、実際に会社を休むことになった場合に、賃金の取扱いをどうするか決めておくことが望ましいです。

裁判員の候補者は、毎年、1月1日から12月31日までの1年単位で入れ替わることになっていて、前年の11月に、裁判員の候補者に選ばれたことの通知をしています。今回は、この通知(「裁判員候補者名簿への記載のお知らせ」)が届いたものと思います。

これは、裁判員に選ばれる可能性があるという通知ですので、11月・12月の段階では、裁判所に出向く必要はありません。

裁判員の候補者として選ばれるのは、有権者の約500人に1人です。裁判員制度が始まったのが2009年ですので、身近な人が裁判員の候補者に選ばれるケースが増えていると思います。

その後、具体的な事件が発生して、1月1日以降に裁判員裁判を開廷することが決まると、事件ごとに、裁判員の候補者の中から くじで約70人を選びます。

これに選ばれると、改めて「裁判員等選任手続期日のお知らせ」が届いて、選任手続きをするために、裁判所に出向くよう求められます。この通知は、裁判所に出向く日の6週間以上前に発送されます。

選任手続きの当日は、裁判員裁判の流れや事件の概要の説明があって、不公平な判断をする恐れがないか(事件の当事者との関係の有無などが)確認されます。

最終的に残った候補者の中から、事件ごとに くじで6人の裁判員が選ばれます。追加で補充裁判員が選ばれることもあります。

以上のとおり、具体的な事件で選任手続きをするために選ばれたときは、会社を休んで裁判所に出向く必要があります。裁判員に選ばれて、裁判手続に参加する場合も同じです。

そのときになって慌てることがないように、就業規則に裁判員休暇の項目を設けて、休暇の手続きはどうするか、賃金の取扱いはどうするか、定めておくことが望ましいです。

なお、選任手続や裁判手続に参加したときは、裁判員候補者には1日約8,000円(半日約4,000円)、裁判員には1日約10,000円の日当が支払われます。

就業規則で裁判員休暇を無給として、その日に従業員が年次有給休暇を取得したときは、通常の賃金と日当の両方の支払いを受けられます。