兼業・副業の対応

兼業・副業の対応

従業員から「空いている時間にアルバイトをしても良いですか?」と尋ねられました。会社は禁止できますか?

個々の状況によります。正当な理由があれば、兼業や副業を禁止できますが、正当な理由がなければ、兼業や副業の申出は認めないといけません。

プライベートの時間の使い方は本人の自由ですので、その使い方について、会社にあれこれ指図をする権限はありません。したがって、休日や労働時間外に行う兼業や副業は、原則的には、会社が禁止することはできません。

しかし、次のような場合は、会社の業務に支障が生じたり、会社に損害が生じたりする恐れがあります。

  1. 労働時間を通算すると、過重労働の危険がある
  2. 競業企業で兼業をして、機密情報が漏洩する恐れがある
  3. 風俗店等で兼業をして、会社の信用が失墜する恐れがある

このような事情がある場合は、正当な理由があるものとして、会社は兼業や副業を禁止できます。要するに、一律に禁止できるものではなく、個々の状況によります。

このような事情の有無を確認するために、兼業や副業をするときは、就業規則で事前に会社の許可を要することを条件としているケースが多いです。また最近は、政策によって副業・兼業が促進されていて、届出制にするケースも増えています。

なお、口頭だけで処理をすると、後から確認ができませんし、許可をした前提条件(兼業先や副業先の勤務状況)が変化することも考えられますので、書面等(記録が残る方法)による申請をルールとしておくべきです。

そして、例えば、1週間の所定労働時間が40時間に近い者については、これに兼業や副業による労働時間を通算すると、過重労働の危険が明らかです。会社には安全配慮義務や健康配慮義務がありますので、兼業や副業は認めるべきではありません。

一方、1週間の所定労働時間が20時間の者が、1週間の所定労働時間が20時間で兼業したとすると、過重労働の可能性は低いです。また、両社の労働時間(残業時間)が重複しないで、睡眠時間を削られることがなく、機密漏洩や信用失墜等の恐れがなければ、会社の業務に支障が生じることは考えにくいです。

正当な理由がなければ、従業員による兼業や副業の申出は認めざるを得ません。