福原学園(九州女子短期大学)事件

福原学園(九州女子短期大学)事件 事件の経緯

平成23年4月1日から翌年3月31日までを契約期間とする有期労働契約を締結し、短期大学の非常勤講師(契約職員)として勤務していました。

契約職員を対象とする短期大学の契約職員規程(就業規則)には、次の内容が定められていました。

短期大学は契約職員に対して、平成24年3月31日をもって労働契約を終了する旨(雇止め)を通知しました。

これに対して契約職員は、雇止め(労働契約の終了)は無効であると主張して、労働契約上の地位の確認及び雇止めされた後の賃金の支払を求めて訴訟を提起しました。

その後、短期大学は契約職員に対して、仮に、労働契約が平成24年3月31日をもって終了していないとしても、平成25年3月31日をもって労働契約を終了する旨(雇止め)を通知しました。

更に、短期大学は契約職員に対して、その労働契約が終了していないとしても、契約職員規程(就業規則)において、契約期間の更新は3年を限度とすることを規定しているので、平成26年3月31日をもって労働契約を終了する旨(雇止め)を通知しました。

福原学園(九州女子短期大学)事件 判決の概要

本件労働契約は、1年間の有期労働契約として締結されたものである。

契約職員規程(就業規則)には、契約期間の更新は3年を限度とすることが定められていた。また、その満了時に期間の定めのない労働契約に転換できるのは、これを希望する契約職員の勤務成績を考慮して、短期大学が必要と認めた場合であることが明確に定められていた。

契約職員も、これらの内容を十分に認識した上で、労働契約を締結したものと考えられる。

一般的に大学の教員の雇用は流動性のあることが想定されており、短期大学においても、有期労働契約の更新限度としている3年間の満了後に、期間の定めのない労働契約に転換されなかった契約職員が複数いた。

これらに照らすと、本件労働契約が期間の定めのないものに転換されるかどうかは、契約職員の勤務成績を考慮して行う短期大学の判断に委ねられている。有期労働契約の更新限度としている3年間が満了したときに、当然に期間の定めのない労働契約に転換されるものではない。

そして、事実関係に照らすと、その契約職員については、短期大学が期間の定めのない労働契約に転換する必要性を認めていなかったことは明らかである。

また、有期労働契約の無期労働契約への転換について定めている、労働契約法第18条の要件を契約職員が満たしていないことも明らかである。その他に、無期労働契約に転換されたと考えられる事情はない。

以上により、本件労働契約は、平成26年4月1日から期間の定めのないものに転換されたとはいえず、同年3月31日をもって終了したというべきである。

福原学園(九州女子短期大学)事件 解説

短期大学が契約職員(非常勤講師)を雇止めして、トラブルになったケースです。有期労働契約が更新されるかどうか、無期労働契約に転換されるかどうか、が争われました。

原審の福岡高裁では、採用当初の3年間は試用期間であり、特段の事情がない限り、契約職員が無期労働契約に移行すると期待することに客観的な合理性があるから、本件労働契約は無期労働契約に移行したものと認められると判断したのですが、最高裁はこれを取り消す判断をしました。

ただし、最高裁は、無期労働契約への転換は否定しましたが、2年目と3年目の有期労働契約の更新は認めています。

労働契約法第19条の第2号により、契約職員が有期労働契約の更新を期待することについては、合理的な理由があるとしても、有期労働契約から無期労働契約への転換については、判断基準に大きな隔たりがあることを示しています。

短期大学の就業規則には、有期労働契約の更新は3年を上限とすること、無期労働契約への転換は短期大学の判断で決定すること、が規定されていました。

また、3年間が経過した後に無期労働契約に転換されなかった契約職員が複数いた上に、講師という仕事の性格上、その能力や資質等を判定するためには、ある程度の期間が必要であることも考慮されて、3年間の満了をもって雇止めは有効と判断しました。