適正な労働時間(残業時間)の自己申告制
適正な労働時間(残業時間)の自己申告制
- 自己申告制で労働時間(残業時間)を管理している場合は、上限を設けたり、端数を切り捨てたりして、実際より少ない時間で申告していませんか?
- 労働時間(残業時間)に対して1分単位で計算して、賃金(残業手当)を支払う義務がありますので、従業員が実際より少ない時間で申告していると、賃金の不払いとして労働基準法違反になります。
【解説】
従業員が時間外労働をしたときは、会社は時間外労働の時間に応じて割増賃金を支払うことが義務付けられています。時間外労働の時間は、1分単位で計算する必要があります。例えば、30分未満の端数を切り捨てる方法は認められません。賃金の不払いとして、労働基準法違反になります。
また、従業員が遅刻や早退をしたときは、会社はその時間に対する賃金を控除できます。この場合も、1分単位で計算する必要があります。例えば、5分の遅刻をしたときに、30分単位に切り上げる方法は認められません。賃金の不払いとして、労働基準法違反になります。
正しい処理をするために、会社は個々の従業員の実際の労働時間(時間外労働の時間)を適正に把握する必要があります。
そのため、タイムカード、ICカード、勤怠管理システムなど、客観的な方法で従業員の出退勤の時刻を記録している会社が一般的です。
自己申告制によって、労働時間(始業時刻・終業時刻)を把握する方法も可能ですが、違法な取扱いになっているケースがありますので、注意が必要です。
例えば、残業時間(時間外労働の時間)に上限を設けて、それを超える申告を認めていない場合は、賃金の不払いとして、労働基準法違反になります。
また、従業員が「仕事が遅いと思われたくない」と考えて、勝手に少ない残業時間で申告したり、端数を切り捨てて申告することがあります。会社が指示していなくても、違法になってしまいます。
自己申告制によって労働時間を把握する場合は、事前に従業員や管理者に、労働基準法に関する説明をして、適正に申告するよう指導する必要があります。
その後も、自己申告による労働時間(残業時間)と、タイムカードの在社時間やパソコンの使用時間等を照らし合わせて、乖離がないか定期的に確認することが望ましいです。乖離がある場合は、従業員にその理由を確認する等して、状況に応じて労働時間を修正する必要があります。
労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインが定められていますので、参考にすると良いでしょう。

執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。中小零細企業の就業規則に関する悩みは全て解決いたします。日々の業務やホームページでは、分かりやすく伝えることを心掛けています。

