医師による面接指導
医師による面接指導
- 長時間労働を行った従業員に対して、面接指導を実施していますか?
- 労働安全衛生法により、長時間労働を行った従業員が一定の要件を満たしている場合は、医師による面接指導を行うことが義務付けられています。
【解説】
労働安全衛生法(第66条の8第1項)によって、次のように規定されています。
「事業者は、その労働時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。」
厚生労働省令で定める要件に該当する従業員に対して、医師による面接指導を行うことが義務付けられています。
面接指導とは、問診等によって従業員の心身の状況を把握し、面接して必要な指導を行うこととされています。
そして、厚生労働省令(労働安全衛生規則)によって、具体的な要件が次のように定められています。
「法第66条の8第1項の厚生労働省令で定める要件は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者であることとする。」
- 1週40時間を超えて労働させた時間が1ヶ月に80時間を超えている
- 疲労の蓄積が認められる
この両方を満たしている従業員に対して、面接指導を実施する必要があります。
なお、1ヶ月に80時間を超えるかどうかは、1週40時間を超えた労働時間が基準になりますので、休日労働と時間外労働は区別しないで両方の時間を合計して計算します。
また、厚生労働省令(労働安全衛生規則)で、次のように定められています。
「法第66条の8の面接指導は、前条第1項の要件に該当する労働者の申出により行うものとする。」
流れとしては、1週40時間を超える時間外労働等の時間が1ヶ月に80時間を超えた従業員が、疲労が蓄積していると自認して、会社に申し出た場合に実施することになります。
また、時間外労働等の時間が1ヶ月に80時間を超えたかどうかは、本人が把握していないケースが多いです。そのため、会社は毎月計算をして、80時間を超えた従業員がいる場合は、本人に通知することが義務付けられています。
そして、従業員数が50人以上の会社は、産業医を選任しているはずですので、該当する従業員は産業医による面接指導を受けることになります。
従業員数が50人未満の会社については、各都道府県に設置されている地域産業保健センターを利用すれば、無料で面接指導を受けることができます。
該当する従業員がいる場合は、予め地域産業保健センターに問い合わせて、手続き等について確認した上で実施すると良いでしょう。