身元保証書の損害賠償の上限額

身元保証書の損害賠償の上限額

  • 身元保証人に損害賠償を請求することを想定して、採用時に身元保証書を提出してもらう場合は、その上限額を身元保証書に記載していますか?
  • 身元保証人に損害賠償を請求する場合は、あらかじめ身元保証書に、その上限額を記載しておく必要があります。

【解説】

従業員が故意又は過失によって会社に損害を与えたときは、原則的には、会社は本人に損害賠償を請求できます。

本人が支払えない場合に、身元保証人を付けていれば、本人に代わって身元保証人に損害賠償を請求できます。

これを明示するために、従来の身元保証書には、「本人が会社に損害を与えた場合は、損害を賠償します」と記載しているものが多かったと思います。

しかし、民法が改正されて、2020年4月1日以降は、具体的な上限額を定めていない身元保証書は無効になります。つまり、上のような記載だけでは、身元保証人に損害賠償を請求できません。

有効に請求できるようにするためには、例えば、「本人が会社に損害を与えた場合は、1,000万円を上限として損害を賠償します」と上限額を記載しておく必要があります。

身元保証書に具体的な金額を記載していると、身元保証人になるよう依頼された人は、「1,000万円を支払わされることになったらどうしよう?」と現実的に考えますので、拒否をするかもしれません。そうなると、身元保証書を提出できない従業員が続出することが予想されます。

過去に、身元保証人に損害賠償を請求したことがある会社は、そのような事態を想定して、上限額を記載することになるでしょう。

一方、身元保証人に損害賠償を請求したことがない会社は、身元保証書から損害賠償に関する記載を削除することも考えられます。

従業員が無断欠勤をしたり、病気になったり、問題があった場合に協力を求める程度であれば、削除しても良いと思います。また、損害保険に加入するなど、損害を最小限にする対策を講じることも重要です。

身元保証書のサンプルは、こちらからダウンロードできます。

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