均衡考慮義務

均衡考慮義務

労働契約法 第3条第2項

労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。

【均衡考慮義務】の解説です

労働契約は、従業員と会社が就業の実態の均衡を考慮して、締結したり、変更したりするものです。

就業の実態の均衡を考慮するというのは、どういうこと?

就業の実態を基準にして、それに見合った労働契約にするということです。

労働契約というのは、賃金ということ?

賃金がメインですが、その他の休暇、福利厚生などの処遇も含みます。

就業の実態というのは?

仕事の内容、配置転換の有無、責任の大きさ、能力、勤続年数、勤務時間(残業の程度)などです。

簡単に言うと、仕事の内容に見合った賃金にするということ?

簡単に言うとそうです。

どこの経営者もそれを考えて賃金を決定していると思うけど。

確かにそうです。問題になりやすいのは、同じ仕事をしている正社員やパートタイマー等がいるような場合です。

普通は、非正規のパートタイマーの方が賃金は少ない。

同じ仕事をしていて、更に、配置転換の有無、責任の大きさ、能力、勤続年数、勤務時間なども同じだったら、賃金も同じでないとおかしいです。

理屈はそうだけど、全く同じだったら、正社員とパートタイマーを区別する意味がない。

正社員とパートタイマーでは、配置転換の有無、責任の大きさ、勤務時間(残業の程度)等が違うと思います。

そうだね。

そのときは、賃金は同じでなくても良いけど、バランス(均衡)を考えて、低過ぎるのは認められないということです。

低過ぎるかどうかはどうやって判定するの?

個々のケースごとに、総合的に考慮して判定されます。

難しそうだ。

同じ仕事内容で、パートタイマーの賃金が正社員の賃金の8割未満だった場合に、違法と判断した裁判例があります。

パートタイマーは分かったけど、契約社員は契約期間を定めているだけで、他は正社員と全く同じケースがあると思うけど?

それについては、労働契約法の第20条で規定されています。