社内不倫の禁止

社内不倫の禁止

就業規則に、不倫行為を禁止する規定を追加しても良いでしょうか?

強制力はないですが、注意を喚起する目的で就業規則に規定するのであれば、問題はありません。ただし、その規定の取扱いには注意をする必要があります。

会社が違反行為として禁止できるのは、業務命令違反、職場の秩序を乱す言動、会社の信用を失墜させる言動など、会社の業務に支障が生じる場合に限られます。

このような言動があった場合は、就業規則に基づいて、会社は従業員に対して懲戒処分や解雇を行えます。

しかし、不倫はプライベートのことですので、会社(業務)とは直接関係がありません。そのため、不倫行為自体を、会社が禁止することはできません。社内恋愛も同じです。

もし、就業規則に不倫行為を懲戒処分の事由や解雇の事由として規定したとしても、強制力はありません。そのような就業規則の規定は無効であることを理解した上で、注意を喚起する目的で規定するのでしたら、問題はないと思います。

会社が不倫をした従業員を解雇して、従業員が解雇の無効を訴えたという裁判例がいくつかありますが、従業員の主張が認められ、解雇は無効と判断されたケースが多いです。

解雇が有効か無効かは、会社の業務に具体的にどのような支障があったのかによって判断されます。解雇を有効とする裁判例はいくつかありますが、不倫行為があったというだけでは、解雇は認められません。

不倫行為とは別に、業務命令に違反したり、職務に専念しなかったりして、就業規則に違反する行為があったときは、懲戒処分(始末書の提出など)を行えます。

このときは、不倫行為を理由とするのではなく、業務に支障が生じている事実を理由としなければなりません。

ただし、セクハラに該当するケースは程度によりますが、懲戒処分や解雇は有効と判断されやすくなります。

また、不倫行為が知れ渡って、職場の人間関係や上下関係が乱れて、職場の秩序が保てない場合は、人事権の行使として、配置転換や降格を行うことができます。