権利濫用の禁止

権利濫用の禁止

労働契約法 第3条第5項

労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。

【権利濫用の禁止】の解説です

従業員と会社は、権利を行使できる場合でも、その権利を濫用してはいけません。

職権濫用の濫用?

そうです。公務員が職務上の権限を越える行為をしたときは、職権濫用罪として罰せられます。

権利が認められていても、無暗に振り回してはいけない。

そういうことです。労働契約において、会社に一定の権利が認められている場合でも、度を越した行為は許されません。

会社に一定の権利が認められている場合というと?

会社は組織を効率的に運営をするために、従業員を適正な部署に配置したり、社内の秩序を維持したりする必要があります。

だから?

配置転換、出向、懲戒処分、解雇などは、本来は会社が自由に行えます。

組織運営という必要性、根拠があって、そのような権利が会社に認められているんだ。

そうです。でも、経営者の好き嫌いで解雇できたり、無条件に認めていたら、従業員は安心して働けません。

確かに。

従業員が安心して働けるように、権利に一定の制約を設けて、それを越える行為を濫用と位置付けています。

なるほど。どういう場合に濫用になる?

例えば、解雇については、労働契約法の第16条でも規定されています。具体的には個々のケースごとに、総合的に考慮して判断することになります。