労働時間の適正な把握(重要なガイドライン)
労働時間の適正な把握(重要なガイドライン)
- 従業員の労働時間(始業時刻と終業時刻)を適正に把握していますか?
- 労働基準法によって、労働時間を記録することが義務付けられています。ガイドラインで定められた方法で適正に行っていないと、労働基準監督署による指導や是正勧告の対象になります。
【解説】
労働基準法(第108条)によって、会社は賃金台帳を調製(作成)することが義務付けられています。賃金台帳の記載事項については、労働基準法施行規則によって、次の事項が列挙されています。
- 氏名
- 性別
- 賃金計算期間
- 労働日数
- 労働時間数
- 時間外労働、休日労働、深夜労働の時間数
- 基本給及び手当の種類ごとに、その額
- 賃金の一部を控除した場合は、その額
また、労働基準法(第37条)によって、割増賃金を支払うことが義務付けられていますが、6.時間外労働、休日労働、深夜労働の時間数を適正に把握することが前提になります。
そして、始業時刻及び終業時刻を確認して記録するための方法が、ガイドライン(「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」)で定められています。
労働基準監督署の調査で使用されて、ガイドラインに違反している場合は指導や是正勧告の対象になります。ガイドラインでは、始業時刻・終業時刻の確認及び記録方法として、次の3つの方法が挙げられています。
- 管理者(所属長等)が自ら現認する方法
- タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎とする方法
- 自己申告制による方法
ガイドラインでは、1.又は2.による方法を原則としています。3.の自己申告制は例外的な方法として、次の措置を講じることとされています。
- 従業員及び管理者に対して、労働時間の実態を正しく記録するよう十分な説明をすること
- 自己申告によって把握した労働時間と実際の労働時間に乖離がないか調査を実施して、必要に応じて労働時間の補正をすること
- 時間外労働の時間数に上限を設けたりして、適正な自己申告を阻害しないこと
当然ですが、会社から従業員に対して、時間外労働の時間数を過少申告するよう指示することは許されません。仮に、そのような指示をしていなくても、従業員が自発的に過少申告したときは、会社が賃金の不払いの労働基準法違反をしたことになりますので、注意が必要です。
36協定で定めている時間や定額残業手当で想定している時間を超えたときに、過少申告をするケースが見受けられます。
なお、2.はタイムカード等の「客観的な記録を基礎とする方法」となっています。基礎ですので、タイムカードの打刻時間(在社時間)=始業時刻・終業時刻とすることまでは求められていません。
例えば、タイムカードの打刻時間と実際の始業時刻・終業時刻(実際の労働時間)に、10分程度の誤差が生じている職場で、会社がそれを合理的に説明できれば、誤差の時間は労働時間(残業時間)に含めなくても構いません。切捨てが認められます。
また、望ましい方法として、従業員が残業するときは、残業申請書や残業指示書に基づいて行う方法をお勧めしています。タイムカード等と誤差が生じたときに、残業申請書等があれば、その誤差の時間は残業していなかったことを会社が証明しやすくなります。

執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。中小零細企業の就業規則に関する悩みは全て解決いたします。日々の業務やホームページでは、分かりやすく伝えることを心掛けています。

