労働時間の適正な把握
労働時間の適正な把握
- 従業員の労働時間(始業時刻と終業時刻)を適正に把握していますか?
- 労働基準法により、労働時間を記録することが義務付けられています。
【解説】
労働基準法(第108条)により、会社は賃金台帳を作成することが義務付けられています。
賃金台帳の具体的な記載内容については、労働基準法施行規則によって、次の事項が列挙されています。
- 氏名
- 性別
- 賃金計算期間
- 労働日数
- 労働時間数
- 時間外労働、休日労働、深夜労働の時間数
- 基本給、手当の種類ごとに、その額
- 賃金の一部を控除した場合は、その額
また、残業手当(割増賃金)を正しく支払うためには、残業時間(労働時間)を正しく把握することが前提になります。
そして、従業員ごとに日々の始業時刻と終業時刻を確認し、適正に記録することがガイドラインで定められています。
このガイドライン(「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」)は、労働基準監督署による調査の際に、よく用いられています。
ガイドラインで定められている始業時刻・終業時刻の確認及び記録の方法としては、次の3つの方法が挙げられています。
- 管理者(所属長等)が自ら現認する方法
- タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間等の客観的な記録を基礎とする方法
- 自己申告制による方法
ガイドラインでは、1.又は2.が原則的な方法とされています。
3.の自己申告制は例外的な方法として、労働時間の実態を正しく記録するために、次の措置を講じることとされています。
- 従業員及び管理者(所属長等)に対して、労働時間の実態を正しく記録するよう十分な説明をすること
- 自己申告した労働時間と在社時間に乖離がある場合は実態を調査し、労働時間を補正すること
- 上限時間を設けたり、適正な自己申告を阻害しないこと
当然ですが、労働時間(残業時間)を過少申告するよう従業員に強要することは許されません。仮に、従業員が自発的に過少申告したとしても、会社が法律違反を犯したことになりますので、注意をする必要があります。
なお、2.は「タイムカード等の“客観的な記録を基礎とする”方法」となっています。タイムカードの打刻時間(在社時間)=始業時刻・終業時刻とすることまでは求められていません。
例えば、タイムカードの打刻時間と実際の始業時刻・終業時刻(実際の労働時間)に、10分程度の誤差が生じている場合に、その時間は仕事をしていなかったことを会社が証明できれば、労働時間(残業時間)にカウントしなくても構いません。
タイムカード等と併用して残業申請書や残業指示書等で残業時間を管理している場合は、タイムカード等と突き合わせて、労働時間(残業時間)を決定することができます。
タイムカード等と誤差が生じたときに、残業申請書等があれば、その誤差の時間は残業していなかったことを会社が証明しやすくなります。