シフトの労働時間の決定方法(雇用保険と社会保険)
シフトの労働時間の決定方法(雇用保険と社会保険)
- シフト制で勤務をするアルバイトやパートタイマーについて、週20時間や週30時間を上下しないよう意識して、各人のシフトの労働時間を決定していますか?
- 雇用保険は週20時間が加入基準、社会保険は週30時間が目安になっています。この時間を上下して超えたり超えなかったりしていると、加入義務が曖昧になってトラブルが生じます。
【解説】
個々のアルバイトやパートタイマーの希望を聞いたり、業務の繁閑に合わせたりして、シフトの労働時間を臨機応変に決定していると、大きなバラツキが生じることがあります。
雇用保険については、1週間の所定労働時間が20時間以上の者に対して、加入が義務付けられます。20時間未満の場合は、雇用保険に加入できません。
社会保険(健康保険と厚生年金保険)については、正社員の1週間の所定労働時間が40時間とすると、1週間の所定労働時間が30時間以上の者に対して、加入が義務付けられます。ただし、特定適用事業所の場合は、1週間の所定労働時間が20時間以上の者に対して、加入が義務付けられます。
- シフトの労働時間が毎週20時間未満で、雇用保険と社会保険に加入していない
- シフトの労働時間が毎週20時間以上30時間未満で、雇用保険に加入して、社会保険に加入していない
- シフトの労働時間が毎週30時間以上で、雇用保険と社会保険に加入している
このようにシフトの労働時間を設定している場合は、問題はありません。しかし、
- 雇用保険に加入していないアルバイトの労働時間が週20時間以上になったり
- 社会保険に加入しているアルバイトの労働時間が週30時間未満になったり
- 雇用保険だけ加入しているアルバイトの労働時間が週20時間未満や週30時間以上になったり
このような状態が続いていると、加入義務の有無が曖昧になってしまいます。
1ヶ月を平均して、たまたまそうなった場合は臨時的な変動として、問題にはならないと思います。しかし、連続して複数月に及んでいると、調査等で指摘されて適正に処理をするよう指導される可能性が高いです。
そして、会社がさかのぼって加入や脱退(資格の取得や喪失)の手続きをすると、雇用保険や社会保険(健康保険と厚生年金保険)の保険料の負担等に関して、トラブルになることがあります。
シフトの労働時間は、加入義務の有無と実態が一致するように、週20時間や週30時間といった加入基準を意識して決定するべきです。
なお、労働基準法によって、従業員を採用したときは、雇用契約書や労働条件通知書を交付して、労働時間や賃金等の労働条件を個別に明示することが義務付けられています。正社員に限らず、シフト制で勤務をするアルバイトなど、全ての労働者に対して明示をする必要があります。
シフト制で勤務をするアルバイトについては、始業時刻、終業時刻、休日等はシフト表で決定することを明示します。また、労使間の思い違いを防止するために、1週間や1ヶ月の所定労働時間の目安や範囲について、話し合って合意することが重要です。
- 1週○時間前後
- 1週○時間から○時間
- 1ヶ月○時間前後
- 1ヶ月○時間から○時間
このように本人と合意をして、雇用保険や社会保険の加入基準を上下しないよう注意して、シフトの労働時間を決定することが望ましいです。