シフト制の労働時間の注意点
シフト制の労働時間の注意点
- シフト制で勤務をするアルバイトやパートタイマーについて、雇用保険や社会保険(厚生年金保険と健康保険)の加入要件に注意しながら、各人のシフトの労働時間を決定していますか?
- 雇用保険は週20時間、社会保険は週30時間が加入基準になっています。この時間を超えたり超えなかったりしていると、加入義務が曖昧になってトラブルの原因になります。
【解説】
個々のアルバイトやパートタイマーの希望を聞いたり、業務の繁閑に合わせたりして、シフトの労働時間を臨機応変に決定していると、労働時間にバラツキが生じます。
雇用保険については、1週間の所定労働時間が20時間以上の者に対して、加入が義務付けられます。20時間未満の者は、雇用保険に加入できません。
社会保険(健康保険と厚生年金保険)については、特定適用事業所(2024年10月以降は51人以上の会社ですが、段階的に適用範囲が拡大されます)に該当する会社は、雇用保険と同じで、1週間の所定労働時間が20時間以上かどうかが加入基準の1つとして定められています。
特定適用事業所に該当しない会社は、正社員の1週間の所定労働時間が40時間とすると、1週間の所定労働時間が30時間以上の者に対して、社会保険(健康保険と厚生年金保険)の加入が義務付けられます。30時間未満の者は加入できません。
例えば、1週間の所定労働時間が16時間で、雇用保険に加入していない場合に、1週間の実際の労働時間(実働時間)が24時間の状態を継続していると、調査等を受けたときに雇用保険の加入義務があると指摘される可能性があります。
反対に、1週間の所定労働時間が24時間で、雇用保険に加入している場合に、1週間の実際の労働時間(実働時間)が16時間の状態を継続していると、雇用保険に加入できないと指摘される可能性があります。
1ヶ月だけそうなった場合は、臨時的な変動として問題にはならないと思いますが、連続して複数月に及んでいると、常態・実態がそうであると判断されます。
正しく手続きをすることは会社の責任です。また、労働者保護の観点から、不正な(違法な)処理のため、従業員が損害を受けたときは、会社に損害賠償を請求される可能性があります。
社会保険(厚生年金保険と健康保険)についても同様に考えられます。
調査等で指摘を受けて、さかのぼって加入や脱退(資格取得・資格喪失)の手続きをすると、雇用保険や社会保険(健康保険と厚生年金保険)の保険料の負担や給付に関して、トラブルになることがあります。
シフトの労働時間は、加入義務の有無と実態が一致するように、週20時間や週30時間といった加入基準を意識して決定するべきです。
従業員本人の希望でシフトの労働時間を決定したとしても、最終的な責任は会社にあります。以後のシフトの労働時間を変更する場合は、改めて雇用契約書を締結し直して、適正に雇用保険や社会保険(健康保険と厚生年金保険)の資格取得・資格喪失の届出をするべきです。
なお、労働基準法によって、従業員を採用するときは、雇用契約書や労働条件通知書を交付して、労働時間や賃金等の労働条件を個別に明示することが義務付けられています。正社員に限らず、アルバイトやパートタイマーなど、全ての労働者に対して明示をする必要があります。
そして、シフト制で勤務をするアルバイト等については、始業時刻、終業時刻、休憩時間、休日は、シフト表で決定することを明示します。また、労使間の思い違いを防止するために、次のように、1週間や1ヶ月の所定労働時間の目安や範囲について、話し合って合意することが重要です。
- 1週○時間前後
- 1週○時間から○時間まで
- 1ヶ月○時間前後
- 1ヶ月○時間から○時間まで
このように本人と合意をして、雇用保険や社会保険の加入基準を上下しないよう注意して、シフトの労働時間を決定することが望ましいです。
執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。メールを用いた関連サービスは20年以上の実績があり、全国の中小零細企業を対象に、これまで900社以上の就業規則の作成・変更に携わってきました。

