労働契約の内容と就業規則の関係
労働契約の内容と就業規則の関係
労働契約法 第7条
労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。
【労働契約の内容と就業規則の関係】の解説です
労働契約を締結するときに、会社が合理的な内容の就業規則を従業員に周知していた場合は、その就業規則の内容が労働契約の内容になります。ただし、就業規則より有利な労働条件で個別に合意していた部分については、その労働契約が優先されます。
どういうこと?
基本的に、従業員には就業規則が適用されることが規定されています。ただし、その就業規則は合理的な内容で、従業員に周知している必要があります。
合理的な内容?
就業規則の個々の労働条件ごとに判断されるのですが、労働基準法に違反している部分は合理的とは言えません。
合理的でない場合はどうなるの?
就業規則のその部分は無効になります。就業規則全体が無効になるということではありません。
周知というのは?
従業員が就業規則を見たいと思ったときに、いつでも見られる状態にしておくことです。
就業規則は書棚に置いてあるから、それで良いね?
はい。それで良いです。
就業規則の内容を知らない従業員もいるけど大丈夫?
就業規則の内容を従業員が知っているかどうかは関係ありません。会社としては周知していれば大丈夫です。その上で、従業員が就業規則の内容を知らないというのは本人の責任です。
それで何だっけ?
基本的には、就業規則で定めている内容が適用されます。ただし、労働契約として個別に具体的に定めていた部分は除きます。
労働契約として個別に具体的に定めていた部分?
労働契約は、従業員と会社が合意することによって成立します。
そうだった。
でも、採用する都度、1つ1つ労働条件を決めていると効率的ではありませんので、統一的・画一的な労働条件を定めたものとして就業規則があります。
従業員と個別に具体的に定めていなかった部分は、就業規則が適用される?
そうです。それで、労働条件として個別に具体的に定めていた部分は、就業規則は適用されないで、その労働契約の内容が優先されます。
どういうこと?
就業規則(賃金規程)に手当に関する記載をしていると思いますけど、例えば、特別に手当を付けたりすることがあります。
就業規則(賃金規程)には書いていないけど、特別な手当を支給することが労働契約の内容になると。
そうです。ただし、就業規則で定めている労働条件より有利な内容に限ります。就業規則より不利な内容については無効になって、就業規則が適用されます。
就業規則と個別に定めた労働契約を比較して、従業員にとって有利な方が適用されるということ?
そういうことです。
小さい会社で、就業規則を労働基準監督署に届け出ていない場合は?
10人未満の会社は就業規則の作成義務がありませんけど、合理的な労働条件を定めている就業規則で、従業員に周知していれば、その就業規則を適用できます。