就業規則違反の労働契約

就業規則違反の労働契約

労働契約法 第12条

就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

【就業規則違反の労働契約】の解説です

労働契約として個別に合意していた労働条件が、就業規則で定めている労働条件より下回っている場合は、その部分は無効になって就業規則が適用されます。

どういうこと?

例えば、個別に合意した雇用契約書には「退職金は支給しない」と記載していて、就業規則に「退職金を支給する」と記載していたとします。

雇用契約の内容が、就業規則の内容より下回っているということ?

そうです。その場合は就業規則が適用されて、会社は退職金の支払いが義務付けられます。

個別に合意していても無効になるんだ。

はい。他には、休職の適用の有無、賃金(手当)の有無や金額など、勤務する上での労働条件が全て対象になります。

話が戻るけど、就業規則に「退職金を支給する。ただし、パートタイマーには支給しない」と規定していた場合は?

パートタイマーに交付した雇用契約書(労働条件通知書)に「退職金は支給しない」と記載していたとすると、就業規則と同じ内容になります。

その場合は退職金を支払わなくても大丈夫?

大丈夫です。就業規則では、項目ごとに適用しないパートタイマー等がいる場合は、除外規定を設けることが重要になります。

パートタイマー用の就業規則を作成する場合は?

例えば、退職金の規定を設けなければ、退職金の制度はない、退職金を支払う義務はないということになります。

就業規則と労働契約の関係でいうと、似たような規定があったように思うけど?

はい。労働契約法の第7条で、労働契約の内容が就業規則の内容より有利なときは、労働契約が優先して適用されることが規定されています。

この第12条は、労働契約の内容が就業規則の内容を下回るときは、就業規則の内容に引き上げられるということ?

はい。要するに、就業規則と労働契約の内容を労働条件ごとに比較して、従業員にとって有利な方が有効になります。

労働契約で無効になるのは、就業規則より下回っている部分だけ?

はい。それ以外の部分は有効です。