採用面接で病気の質問

採用面接で病気の質問

前に採用した従業員が、以前から患っていた精神疾患が再発して退職しました。従業員を採用するときに、持病等について、採用面接で質問をすることは問題がありますか?

健康状態が良好であることは確認するべきです。採用面接で健康状態や持病等に関する質問をしても、問題はありません。

従業員を採用しても、病気が原因で頻繁に休まれると業務に支障が生じます。そのため、通常の就業規則では、解雇事由の1つとして、「精神又は身体の障害により、業務に耐えられないと会社が認めたとき」のような規定を設けていると思います。

労働契約とは、従業員は会社の指示に従って業務を遂行して、会社はその対価として従業員に賃金を支払うという契約です。採用面接をするときに、会社の指示に従って業務を遂行できることの確認は必要で、健康状態が良好であることは重要な条件です。

また、本人に持病があって、仕事で無理をして症状が悪化すると、会社が安全配慮義務(健康配慮義務)を怠っていたとして、損害賠償を請求される恐れがあります。

もし、採用面接をしたときに、会社が健康状態を確認しないで、入社後に、例えば、うつ病等の精神疾患で通院していることが発覚したとしても、その事実だけで解雇することは認められません。

会社が健康状態を聞いていなければ、(持病はないと)虚偽の発言をしたことにはなりませんし、応募者が積極的に持病について申告する義務はありません。

そして、採用面接の際に、会社から応募者に「健康状態は良好ですか?」と質問をすると、多少の問題があったとしても、「良好です」とか「問題ないです」と答えるケースが一般的です。“良好”の捉え方は主観によります。

「病気を理由に会社を休んだことはありましたか?」「それは1年で何日ぐらいでしたか?」と、具体的な事実を確認する質問が良いと思います。

「1年で何日?」といった具体的な質問に対しては、普通は嘘を言いにくいです。ためらいながら答えたり、他の質問と答え方が異なっている場合は注意してください。

また、休んだことがある場合は、その病名や原因、重度の病気や心の病なら完治したかどうか、再発する可能性、時間外勤務や休日勤務はできるか、必要に応じて出張できるかどうか等、業務に関連する事項は確認するべきです。

病気はプライベートのことですので、当然、興味本位で聞くことは許されませんが、仕事を行う上で支障が生じる可能性がある場合は、必要な範囲で聞いても問題はありません。

厚生労働省のホームページで、「a.本人に責任のない事項」、「b.本来自由であるべき事項」を把握する質問をすると、就職差別に繋がる恐れがあることが示されていますが、健康状態を把握する質問については、これに含まれていません。

a.本人に責任のない事項

  • 本籍、出生地に関すること
  • 家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)
  • 住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など)
  • 生活環境、家庭環境などに関すること

b.本来自由であるべき事項

  • 宗教に関すること
  • 支持政党に関すること
  • 人生観、生活信条などに関すること
  • 尊敬する人物に関すること
  • 思想に関すること
  • 労働組合(加入状況や活動歴など)、学生運動などの社会運動に関すること
  • 購読新聞、雑誌、愛読書などに関すること