採用時の性別を理由とする差別

採用時の性別を理由とする差別

採用面接のときに、応募してきた女性に対して、出産予定の有無や出産後の勤務等について聞くことは問題でしょうか?

女性にだけ聞くことは問題があります。男性にも同じ質問をしていれば違法ではありませんが、望ましくない質問と思います。

就職差別に繋がる恐れがありますので、採用面接の際に、本人に責任のないこと(本籍、親の職業、家族構成など)、業務に関係のないこと(思想や信条など)を聞くことは、通達で禁止されています。

また、男女雇用機会均等法(第5条)によって、次のように、募集及び採用について、性別を理由とする差別が禁止されています。

「事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。」

また、指針によって、「採用選考において、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱いをすること」は、男女雇用機会均等法(第5条)の禁止行為に該当することが示されています。

更に、この続きに、男女で異なる取扱いをしている例として、「採用面接に際して、結婚の予定の有無、子供が生まれた場合の継続就労の希望の有無等一定の事項について女性に対してのみ質問すること」が挙げられています。

について、女性に対してのみ質問することは問題があります。

文字通り解釈すると、女性に限定しないで男性にも同じ質問をしていれば、差別的な取扱いには該当しないと考えられます。例えば、次のような業務に関連する質問をすることは可能です。

女性に限定して質問をすることは問題がありますが、男性にも同じ質問をしていれば、同じ取扱いをしている(同じ基準を設けている)ことになりますので、男女雇用機会均等法違反にはなりません。

しかし、このような質問をすると、「ハラスメントを受けた」と嫌悪感を持つ女性もいます。応募者に不快な思いをさせないように、業務の性質上、聞かなければならない事情があって、男性の応募者にも聞いていることを説明してから質問した方が良いでしょう。

また、半年以内であれば出産予定の有無を答えられるとしても、1年後や2年後は分かりません。聞いたところで、育児休業又は退職の申出があれば会社は拒否できませんので、余り意味のある質問ではないように思います。

そのような事情を選考基準とするより、子育て中の従業員でも働きやすい職場環境を整える方が、優先順位が高いと思います。他社で敬遠されがちな人材を採用できるようになりますので、採用の幅が拡がって、優秀な人材を採用しやすくなります。