インフルエンザ休業と賃金

インフルエンザ休業と賃金

従業員がインフルエンザに感染して、会社を休んだときは、賃金はどのように処理すれば良いでしょうか?

年次有給休暇を取得しない場合は、誰の判断で会社を休んだのかによります。

年次有給休暇を取得する場合

従業員がインフルエンザに感染して、年次有給休暇を請求して、会社を休んだときは、年次有給休暇を消化して、有給で処理をします。通常はこの方法で対応して、問題が生じることはありません。

なお、年次有給休暇は、本人が取得日を指定して請求することになっていますので、会社が一方的に年次有給休暇を取得させることはできません。

ただし、会社から従業員に対して、年次有給休暇を取得するよう説得することは可能です。本人が説得に応じた場合は、年次有給休暇を取得することになります。

しかし、年次有給休暇を取得しない場合、入社して6ヶ月未満で年次有給休暇が付与されていない場合は、どうなるのでしょうか。

年次有給休暇を取得しない場合

年次有給休暇を取得しない場合は、会社又は本人のどちらの判断で休んだのかによって、賃金の取扱いが異なります。

本人の判断で休んだ場合は、年次有給休暇を消化しませんので、欠勤扱いとなって、無給で処理をすることになります。

一方、本人は出勤する意思があって、会社の判断で休ませる場合は、平均賃金の60%以上の休業手当を支払わないといけません。

労働基準法(第26条)によって、会社の都合で休業させた場合は、休業手当(平均賃金の60%以上)を支払うことが義務付けられています。

ただし、感染症予防法の二類感染症に該当する新型インフルエンザで、行政の指示や要請に基づいて休ませた場合は、会社の都合ではありませんので、休業手当を支払う必要はありません。無給で処理できます。

以上のとおりですが、年次有給休暇を取得する方法が、労使共に不満が少ないと思います。医師の意見を確認して、感染の恐れがある場合は、本人と話し合って、年次有給休暇を取得するよう説得することが望ましいと思います。

年次有給休暇を使い切ったり、付与されていない場合は、次回に付与する分を前倒しで付与することも可能です。労働基準法の内容より、従業員にとって有利な取扱いは問題ありません。