うつ病の兆候が見られたときの対応

うつ病の兆候が見られたときの対応

最近、沈みがちで「うつ病ではないか?」と心配な従業員がいます。会社はどのように対応すれば良いでしょうか?

うつ病については、専門家の診断が必要ですので、医師に診てもらうよう勧めてください。

労働契約法(第5条)によって、次のように規定されています。

安全配慮義務や健康配慮義務と呼ばれるもので、従業員が怪我をしたり、病気になったりしないように、会社は従業員の安全や健康を確保するために必要な配慮をすることが義務付けられています。

過重労働が典型的なケースですが、会社がそれを放置して、過労死や過労自殺に至ったときは、損害賠償を請求されます。

従業員の生命や身体等に被害が生じる恐れがあることを知ったときは、会社はその危険を排除する必要があります。

うつ病の兆候が見られる場合は、過重労働等の業務が直接の原因でないとしても、会社(上司)がそれを放置して、業務によって症状が悪化することは避けないといけません。

うつ病やメンタルヘルスについては、専門家の診断が必要です。

「うつ病」という言葉に拒否反応を示す者がいますので、「疲れているようだけど」とか「ストレスが溜まっているのではないか」といった言葉を選んで話を始めると良いでしょう。

そのときに、「よく眠れているか?」「食欲はあるか?」を確認してください。不眠や食欲不振は、うつ病の症状としてよく表れます。

また、医師に診てもらっているかどうか聴いて、診てもらっている場合は、医師はどの程度の仕事(勤務時間や職務内容等)ができると言っているのか確認してください。

医師に診てもらっていない場合は、「病気でなかったらそれで良いし、病気だったら早い段階で治した方が良い」と、医療機関の受診を勧めてください。受診先は、心療内科、メンタルクリニック、精神科等です。

また、その際は、仕事(勤務時間や職務内容等)はどの程度だったら支障がないか、又は、しばらく仕事は休んだ方が良いか、医師に確認するよう伝えてください。

受診に応じにくい場合は、症状の程度にもよりますが、厚生労働省の「こころの耳」というホームページがありますので、こちらを勧めても良いでしょう。電話、SNS、メールで相談できますので、医療機関で受診するより敷居が低くて利用しやすいと思います。

また、各都道府県に精神保健福祉センターが設置されています。地域によって異なるかもしれませんが、専門スタッフが相談に応じてもらえます。

そして、会社は医師の診断やアドバイスに従って、業務を軽減する等して、その後も定期的に本人と話し合って、変化がないか観察をすることが重要です。