未消化代休の放置リスク(賃金の不払い)
未消化代休の放置リスク(賃金の不払い)
- 代休を消化しないで溜め込んでいる従業員はいませんか?
- 従業員が休日勤務をして、同じ賃金計算期間内に代休を取得しなかった場合は、一旦、休日勤務に対する賃金を支払わないといけません。
【解説】
代休とは、①従業員が休日勤務をして、②その代償として出勤日に休む(休日を与える)ことを言います。代休は①と②の組合せですので、労働基準法では代休に関する規定はありません。
代休を取得した場合の賃金については、それぞれの段階で処理をします。時間給制の従業員については、賃金を減額することはありませんので、難しくないと思います。月給制の従業員については、次のようになります。
従業員が休日勤務をしたときは、その労働時間に対する賃金を計算して支払います。
- 休日勤務をした日が法定休日に当たる場合は、1.35倍の休日勤務手当を支払う必要があります。
- 休日勤務をした日が法定休日に当たらなくても、その週の労働時間が40時間を超える場合は、超えた時間に対して、1.25倍の時間外勤務手当を支払う必要があります。
- どちらにも該当しない場合は、1.00倍の通常の賃金を支払うことになります。
- 労働基準法上の取扱いは上のとおりですが、就業規則(賃金規程)で従業員にとって有利に定めている場合は、就業規則(賃金規程)の規定を適用して賃金を支払う必要があります。
その後、従業員が代休を取得したときは、その日の所定労働時間に対する賃金を減額(欠勤控除)します。
したがって、「休日出勤をした日」と「代休を取得した日」が同じ週の場合は、1週間の所定労働時間は40時間以内のまま変わりませんので、賃金は相殺されて、賃金を追加して支払う必要はありません。プラスマイナスゼロになります。
なお、説明の都合上、所定労働時間が8時間、休日出勤をした日の労働時間も8時間として考えます。
1.35倍の休日勤務手当又は1.25倍の時間外勤務手当を支払わなければならない状況で、同じ賃金計算期間内に代休を取得したとすると、1.00分の賃金を減額(欠勤控除)をして、結果的に、0.35分又は0.25分の賃金を支払うことになります。相殺をして、プラスマイナスゼロにはなりません。
また、同じ賃金計算期間内に代休を取得しないで、翌月以降に持ち越したときは、一旦、1.35倍の休日勤務手当又は1.25倍の時間外勤務手当、1.00倍の通常の賃金を支払う必要があります。
そして、翌月以降の賃金計算期間で代休を取得したときは、その月の賃金から1.00分の賃金を減額(欠勤控除)することになります。
しかし、従業員にとっては、賃金が減額されるのは嫌なものです。また、出勤日に休みにくい職場もあったりして、未消化の代休を溜め込んでいる場合があります。
代休を溜め込んでいるだけでしたら問題はありませんが、代休の取得を想定して、休日勤務に対する賃金を支払っていないケースがあります。翌月以降に代休を持ち越すときは、休日勤務に対する賃金をその月に支払っていないと、賃金の未払い、要するに、労働基準法違反となります。
したがって、代休を与えることを前提にして、休日勤務を命じる場合は、できれば同じ週内、それが難しい場合は同じ賃金計算期間内で代休を取得する方法が望ましいです。代休を先に与えて、後ろの日に休日勤務を命じる方法も可能です。
執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。メールを用いた関連サービスは20年以上の実績があり、全国の中小零細企業を対象に、これまで900社以上の就業規則の作成・変更に携わってきました。

