妊娠・出産・育児を理由とする不利益な取り扱い
妊娠・出産・育児を理由とする不利益な取り扱い
- 従業員が妊娠したこと、出産したこと、育児休業したこと等を理由として、不利益な取り扱いをしていませんか?
- 妊娠・出産・育児等を理由として、会社が不利益な取り扱いをすることは、男女雇用機会均等法及び育児介護休業法で禁止されています。
【解説】
男女雇用機会均等法によって、
- 妊娠したこと
- 出産したこと
- 母子保健法による保健指導や健康診査を受けたこと
- 坑内業務や危険有害業務に従事しなかったこと
- 産前産後休業を取得したこと
- 軽易な業務に転換したこと
- 時間外労働、休日労働、深夜労働をしないこと
- 育児時間を取得したこと
- 妊娠又は出産のため通常の勤務ができなかったこと
を理由にして、不利益な取り扱いをすることが禁止されています。なお、3.から8.については、これらを請求した場合も含みます。
また、育児介護休業法によって、「事業主は、労働者が育児休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」と規定されています。
育児休業に関しては、男性従業員も対象になります。
そして、不利益な取り扱いとしては、次のようなケースが例示されています。
- 解雇
- 雇い止め
- 雇用形態(パートタイマー等)の変更
- 賃金の引き下げ
- 賞与の不支給
- 降格
- 配置転換
- 不利益な人事評価
これらは例示ですので、他のケースでも、本人が「不利益な取り扱いを受けた」と主張した場合は、不利益な取り扱いと判断される恐れがあります。
なお、賃金の引き下げや賞与の不支給については、ノーワークノーペイの原則により、勤務しなかった時間や期間に対する賃金(賞与)を減額することは可能です。不利益な取り扱いには当たりません。
例えば、産前産後休業や育児休業を取得して、賞与の支給対象期間の半分しか出勤しなかったときは、賞与は半額を支払えば差し支えありません。賞与の支給日に産前産後休業や育児休業を取得しているからといって、賞与を全く支給しないという取り扱いは許されません。
育児短時間勤務をする場合も同じです。1日の所定労働時間を8時間から6時間に短縮した場合に、賃金を8分の6に減額することは可能です。
また、産前産後休業や育児休業、育児短時間勤務等が終了して、1年以内に行われた不利益な取り扱いは、これらを理由として行ったと判断されます。要するに、育児休業等の制度の利用が終了して、1年間は保護されます。
ただし、特に落ち度のない従業員は法律で保護するべきということで、横領などの重大な違反行為が発覚したときは、解雇は可能です。ある程度は保護されますが、それなりの必要性があれば、1年以内であっても、不利益な取り扱いは認められます。
もっと詳しく
- 労働基準法 第65条<産前の休業>【なるほど労働基準法】
- 労働基準法 第65条第2項<産前の休業>【なるほど労働基準法】
- 労働基準法 第65条第3項<妊娠中の従業員の業務軽減>【なるほど労働基準法】
- 労働基準法 第64条の2<女性の坑内労働の禁止>【なるほど労働基準法】
- 労働基準法 第64条の3<妊産婦の危険有害業務の制限>【なるほど労働基準法】
- 労働基準法 第66条<妊産婦と変形労働時間制>【なるほど労働基準法】
- 労働基準法 第66条第2項<妊産婦の残業>【なるほど労働基準法】
- 労働基準法 第66条第3項<妊産婦の深夜労働>【なるほど労働基準法】
- 労働基準法 第67条<育児時間>【なるほど労働基準法】
- 労働基準法 第67条第2項<育児時間−2>【なるほど労働基準法】
- 男女雇用機会均等法の改正(平成19年)【労務管理の知恵袋】
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