妊娠・出産・育児を理由とする不利益な取扱い

妊娠・出産・育児を理由とする不利益な取扱い

  • 従業員が妊娠したこと、出産したこと、育児休業したこと等を理由として、不利益な取扱いをしていませんか?
  • 妊娠・出産・育児等を理由として、会社が不利益な取扱いをすることは、男女雇用機会均等法及び育児介護休業法で禁止されています。

【解説】

男女雇用機会均等法(第9条)及び施行規則によって、次のことを理由にして、不利益な取扱いをすることが禁止されています。なお、3.から8.については、これらを請求した場合も含みます。

  1. 妊娠したこと
  2. 出産したこと
  3. 保健指導又は健康診査を受けたこと
  4. 坑内業務又は危険有害業務に従事しなかったこと
  5. 産前産後休業を取得したこと
  6. 軽易な業務に転換したこと
  7. 時間外労働、休日労働、深夜労働をしなかったこと
  8. 育児時間を取得したこと
  9. 妊娠又は出産のため通常の勤務ができなかったこと

また、育児介護休業法(第10条)によって、従業員が育児休業を申し出たこと、又は育児休業をしたことを理由として、不利益な取扱いをすることが禁止されています。

同様に、育児介護休業法で定められている、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定労働時間の短縮措置等を申し出たこと、又は利用したことを理由として、不利益な取扱いをすることが禁止されています。なお、育児休業や育児両立支援制度については、男性従業員も対象になります。

そして、不利益な取扱いとして、指針(ガイドライン)によって、次の事例が示されています。

  1. 解雇する
  2. 雇い止めをする
  3. 更新回数の上限の引き下げる
  4. 雇用形態(パートタイマー等)を変更する
  5. 降格する
  6. 就業環境を害する
  7. 不利益な自宅待機を命じる
  8. 減給又は賞与の不利益な算定をする
  9. 不利益な人事評価をする
  10. 不利益な配置転換をする
  11. 労働者派遣を拒否する

これらは例示ですので、当てはまらなくても、本人が「不利益な取扱いを受けた」と主張したときは、不利益な取扱いと判断される恐れがあります。

なお、8.減給又は賞与の不利益な算定については、ノーワーク・ノーペイの原則によって、不就業の時間・期間に対する賃金・賞与を減額することは可能です。

例えば、産前産後休業や育児休業を取得して、賞与の支給対象期間の半分だけ通常勤務をしたときは、賞与は通常の半額を支払えば差し支えありません。賞与の支給日に産前産後休業や育児休業をしているからといって、賞与を不支給とする取扱いは許されません。

育児短時間勤務をする場合も同じです。例えば、1日の所定労働時間を8時間から6時間に短縮した場合に、賃金や賞与を8分の6に減額することは可能です。

また、産前産後休業、育児休業、育児両立支援制度が終了して、1年以内に行った不利益な取扱いは、それを理由として行ったと判断されます。つまり、従業員は、育児休業等の制度利用の終了後も1年間は保護されます。

ただし、横領など、特別な事情があった場合は別です。1年以内であっても、解雇等の不利益な取扱いは認められます。


執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。中小零細企業の就業規則に関する悩みは全て解決いたします。日々の業務やホームページでは、分かりやすく伝えることを心掛けています。

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