子の看護休暇の対象者

子の看護休暇の対象者

  • 育児をしている従業員が申し出たときは、子の看護休暇を与えていますか?
  • 要件に該当する従業員が申し出たときは、会社は子の看護休暇を与える必要があります。

【解説】

子を養育するために「育児休業」を取得できることは一般的に知られていますが、「子の看護休暇」という制度も育児介護休業法で定められています。

どちらも子を養育する従業員が利用できる制度ですが、通常、「休業」は数週間から数ヶ月単位で休むもの、「休暇」は1日単位で休むものという期間の違いがあります。

そして、子の看護休暇については、育児介護休業法(第16条の2第1項)によって、次のように規定されています。

「小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者は、その事業主に申し出ることにより、一の年度において5労働日を限度として、負傷し、若しくは疾病にかかった当該子の世話又は疾病の予防を図るために必要なものとして厚生労働省令で定める当該子の世話を行うための休暇を取得することができる。」

小学校に入学する前の子を養育する従業員が会社に申し出たときは、1年につき5日を上限として、子の看護休暇を取得できることが定められています。子の看護休暇も育児休業と同様に、男女共に利用できます。

なお、小学校に入学する前の子が1人の場合は1年に5日が上限ですが、小学校に入学する前の子が2人以上の場合は10日が上限になります。

ただし、子を看護するための休暇ですので、取得目的が次の場合に制限されています。

  1. 負傷した子、又は病気になった子を世話するため
  2. 子に予防接種、又は健康診断を受けさせるため

この要件を満たしていることを確認するために、子の看護休暇を申し出た従業員に対して、その事実を証明する書類の提出を求めることができます。その際は、事後提出を可能としたり、医師の診断書に限らず、領収書やレシート等で確認したり、柔軟な対応が求められます。

また、一定の者については、労使協定で適用を除外することが認められていて、それに当てはまる場合は、会社は子の看護休暇の申出を拒否できます。

具体的には、育児介護休業法(第16条の3第2項)及び厚生労働省令によって、次の者が明示されています。

  1. 入社して6ヶ月未満の者
  2. 1週間の所定労働日数が2日以下の者

労使協定を締結していることが条件ですので、これに該当していたとしても、労使協定がない会社は子の看護休暇の申出を認めないといけません。

期間を定めて雇用して、一定の要件に当てはまる者については、育児休業の適用を除外できました。しかし、子の看護休暇については、期間を定めて雇用した者であっても適用を除外することは認められていません。

そして、就業規則や育児介護休業規程で明示していない場合は、毎年、4月1日から翌年3月末日までが1年の単位になります。

仮に、就業規則や育児介護休業規程で、「1月1日から12月末日までを1年の単位とする」と記載すれは、そのようにできますが、子の看護休暇は小学校に入学するまで(3月末日まで)取得できます。

そうすると、最終年度は、1月1日から3月末日までの3ヶ月の間に、5日取得できることになります。1.25日(=5日×3ヶ月/12ヶ月)に比例配分することはできませんので、特に必要がなければ、通常どおり、4月1日から翌年3月末日までを1年の単位とするのが良いと思います。

また、子の看護休暇を取得した日については、無給で処理(欠勤控除)をしても構いません。そのため、無給で処理をしている会社が一般的で、年次有給休暇が残っている場合は、年次有給休暇から消化するケースが多いです。

なお、子の看護休暇は年次有給休暇と異なり、未消化分があったとしても、翌年度に繰り越すことはできません。

子の看護休暇は、原則的には1日単位で取得することになっていますが、2021年1月以降は、本人が希望する場合は1時間単位で取得できます。会社はそのような利用方法を認めないといけません。

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