子の看護休暇の対象者
子の看護休暇の対象者
- 小学3年生以下の子を養育している従業員が申し出たときは、子の看護休暇を与えていますか?
- 要件に該当する従業員が申し出たときは、会社は子の看護休暇を与える必要があります。
【解説】
子を養育する従業員は、育児休業を取得できることは一般的に知られていますが、育児介護休業法には、子の看護休暇という制度も定められています。
どちらも子を養育する従業員が利用できる制度です。通常、”休業”は数週間から数ヶ月単位で休むもの、”休暇”は1日単位で休むものという期間の違いがあります。
そして、子の看護休暇については、育児介護休業法(第16条の2)によって、次のように規定されています。
9歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子を養育する労働者は、その事業主に申し出ることにより、一の年度において5労働日を限度として、負傷し、若しくは疾病にかかった当該小学校第3学年修了前の子の世話、疾病の予防を図るために必要なものとして厚生労働省令で定める当該小学校第3学年修了前の子の世話若しくは学校保健安全法第20条の規定による学校の休業その他これに準ずるものとして厚生労働省令で定める事由に伴う当該小学校第3学年修了前の子の世話を行うため、又は当該小学校第3学年修了前の子の教育若しくは保育に係る行事のうち厚生労働省令で定めるものへの参加をするための休暇を取得することができる。
「9歳に達する日以後の最初の3月31日まで」とは、小学3年生の年度末までということです。小学3年生以下の子を養育する従業員が会社に申し出たときは、1年につき5日を限度として、子の看護休暇を取得できることが定められています。
小学3年生以下の子が1人の場合は1年に5日が限度ですが、2人以上の場合は1年に10日が限度になります。なお、子の看護休暇は男女共に利用できます。
ただし、子を看護するための休暇ですので、取得理由が次のように制限されています。
- 負傷又は病気の子の世話
- 予防接種又は健康診断の受診
- 感染症に伴う学級閉鎖
- 入園式(入学式)及び卒園式
要件を満たしていることを確認するために、子の看護休暇を申し出た従業員に対して、その事実を証明する書類の提出を求めることができます。会社から指定しないで、従業員が提出できる書類で処理をすることが望ましいです。
また、育児介護休業法(第16条の3)によって、従業員の過半数代表者と労使協定を締結して、1週間の所定労働日数が2日以下の者について、適用を除外することを定めた場合は、会社は子の看護休暇の申出を拒否できます。
1週間の所定労働日数が2日以下の者でも、労使協定を締結していなかったり、労使協定で適用を除外していない場合は、会社は子の看護休暇の申出を認めないといけません。
なお、期間を定めて雇用した者や勤続6ヶ月未満の者について、以前は適用を除外できましたが、法改正によって、除外できないようになりました。
子の看護休暇は、1日単位で取得する方法が原則ですが、法改正によって、本人が希望する場合は1時間単位で取得できるようになりました。
また、子の看護休暇を取得した日(時間)については、無給で処理をしても構いません。無給で処理をしている会社では、子の看護休暇ではなく、年次有給休暇を取得するケースが多いです。ただし、近年は、子の看護休暇を有給とする会社が増えてきています。
なお、子の看護休暇は年次有給休暇と違って、未消化分があったとしても、翌年度に繰り越すことはできません。
そして、就業規則(育児介護休業規程)で定めていない場合は、毎年4月1日から翌年3月末日までが1年の単位になります。
例えば、「1月1日から12月末日までを1年の単位とする」と、就業規則(育児介護休業規程)に規定すれは、そのようにできますが、子の看護休暇は小学3年生の年度末まで取得できます。
そうすると、最終年度は、1月1日から3月末日までの3ヶ月の間に、5日取得できることになります。1.25日(=5日×3ヶ月/12ヶ月)に按分する方法は認められていませんので、特に必要がなければ、通常どおり、4月1日から翌年3月末日までを1年の単位とする方法が良いと思います。
もっと詳しく
- 改正・育児介護休業法(平成29年)【労務管理の知恵袋】
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