妊産婦の労働時間
妊産婦の労働時間
- 妊娠中の女性従業員、出産後1年以内の女性従業員が請求したときは、時間外労働、休日労働、深夜労働をさせていませんか?
- 妊産婦が請求したときは、労働時間は1週40時間以内、1日8時間以内にする必要があります。
【解説】
女性を必要以上に保護するとそれが女性差別に繋がるという考えから、労働基準法から女性全般を保護する規定が減って、その代わりに妊産婦を保護する規定が設けられています。
「妊産婦」とは、妊娠中の女性、出産後1年以内の女性のことを言います。従来の労働基準法は女性全般を保護の対象としていましたが、母体を保護する方向に対象が変わりました。
そして、労働基準法(第66条第1項)では、妊産婦が請求した場合は、1週40時間、1日8時間を超えて労働させることが禁止されています。
1ヶ月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制を採用している会社であっても、請求した妊産婦については、各週ごとに40時間以内、各日ごとに8時間以内にする必要があります。
また、労働基準法(第66条第2項)では、妊産婦が請求した場合は、36協定に基づいて時間外労働や休日労働をさせることも禁止されています。
つまり、法定労働時間(1週40時間、1日8時間)を超えて勤務させること、法定休日に勤務(1週間休みなく出勤)させることが禁止されます。
言い換えると、その範囲内であれば、残業(例えば、6時間勤務の日に2時間の残業)や休日出勤(例えば、土日が休日の週休二日制で土曜日に出勤)を命じることは可能です。
更に、労働基準法(第66条第3項)では、妊産婦が請求した場合は、深夜労働(午後10時から翌日5時までの時間帯の勤務)をさせることも禁止されています。
以上を整理すると、妊産婦が請求した場合は、時間外労働、休日労働、深夜労働をさせることはできません。
妊産婦が請求しなければ、時間外労働等を命じることは可能ですが、本人が請求できることを知らない場合は教えてあげてください。過重労働が原因で万一のことがあると、会社に責任が及びます。
もっと詳しく
- 労働基準法 第66条<妊産婦と変形労働時間制>【なるほど労働基準法】
- 労働基準法 第66条第2項<妊産婦の残業>【なるほど労働基準法】
- 労働基準法 第66条第3項<妊産婦の深夜労働>【なるほど労働基準法】
- 妊産婦の雇用【労務管理の知恵袋】
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