時間単位の年次有給休暇
時間単位の年次有給休暇
- 年次有給休暇を時間単位で取得することを認めている会社は、労使協定を締結していますか?
- 年次有給休暇を時間単位で取得する場合は、あらかじめ労使協定を作成して、過半数代表者と締結する必要があります。
【解説】
年次有給休暇は、従業員の心身の疲労を回復したり、ゆとりのある生活を実現したりすることを目的とした制度ですので、1日単位で取得することが原則になっています。
しかし、年次有給休暇の取得率が向上しないことから、取得を促進するために、労働基準法が改正されて、平成22年から時間単位で取得することが認められるようになりました。
時間単位の年次有給休暇については、労働基準法(第39条第4項)によって、次のように規定されています。
使用者は、・・・労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めた場合において、第1号に掲げる労働者の範囲に属する労働者が有給休暇を時間を単位として請求したときは、・・・有給休暇の日数のうち第2号に掲げる日数については、・・・当該協定で定めるところにより時間を単位として有給休暇を与えることができる。
- 時間を単位として有給休暇を与えることができることとされる労働者の範囲
- 時間を単位として与えることができることとされる有給休暇の日数(5日以内に限る。)
- その他厚生労働省令で定める事項
更に、この3.(第3号)については、労働基準法施行規則(厚生労働省令)によって、次のように規定されています。
労働基準法第39条第4項第3号の厚生労働省令で定める事項は、次に掲げるものとする。
- 時間を単位として与えることができることとされる有給休暇1日の時間数
- 1時間以外の時間を単位として有給休暇を与えることとする場合には、その時間数
以上を要約すると、上の4項目について、従業員の過半数代表者と労使協定を締結したときは、1年につき5日を上限として、時間単位で年次有給休暇を与えることが可能になる、ということです。
労使協定を締結していることが条件になっていますので、労使協定を締結していなければ、従業員から時間単位で請求があったとしても、会社は請求を拒否しないといけません。
労使協定を締結していない場合は、時間単位で年次有給休暇を与えることができません。与えていると違法になります。
会社が年次有給休暇の時間単位の取得を認める場合は、労使協定を作成して、過半数代表者と労使協定を締結してください。
この労使協定については、労働基準監督署への届出は義務付けられていませんが、従業員に周知しておく必要があります。就業規則と一緒のファイルに綴じたりしていれば構いません。
なお、半日単位で年次有給休暇を与えている会社がありますが、半日単位については、会社の判断で労使協定がなくても与えることができます。
また、年次有給休暇を半日単位で取得できるという内容が、就業規則に記載されていない場合は、従業員から半日単位で請求があったとしても、会社は請求を拒否できます。