前年度・当年度の年次有給休暇の消化順位

前年度・当年度の年次有給休暇の消化順位

  • 従業員が年次有給休暇を取得したときに、前年度に付与した年次有給休暇、又は、当年度に付与した年次有給休暇、のどちらから消化していますか?
  • どちらの年次有給休暇から消化するか、労働基準法では決まっていません。就業規則で定めることができます。

【解説】

労働基準法(第115条)によって、年次有給休暇の時効は2年間と定められていますので、当年度に付与した年次有給休暇は、翌年度に繰り越すことを就業規則に規定していると思います。この処理によって、付与してから2年間は有効ということになります。

そのため、次の2つの年次有給休暇が併存していることになります。

  1. 前年度に付与した年次有給休暇
  2. 当年度に付与した年次有給休暇

従業員が年次有給休暇を取得したときに、どちらの年次有給休暇を消化するのかによって、残日数(翌年度の繰り越し日数)に違いが生じます。

例えば、勤続6.5年以上の従業員がいて、2024年1月1日に20日分の年次有給休暇、2025年1月1日に20日分の年次有給休暇を付与したとします。

説明のため簡略化して、仮に、これまで年次有給休暇を取得しなかったとすると、2025年1月1日の時点で、次の年次有給休暇が有効に残っています。

  1. 前年度(2024年1月1日)に付与して、繰り越した20日分
  2. 当年度(2025年1月1日)に付与した、20日分

そして、2025年1月1日以降に8日の年次有給休暇を取得して、前年度(2024年1月1日)に付与した年次有給休暇から消化すると、2026年1月1日時点の年次有給休暇は、次のようになります。

  1. 2025年1月1日に付与して、繰り越した20日分
  2. 2026年1月1日に付与した、20日分

前年度(2024年)分から消化すると、当年度(2025年)分は未消化のままですので、全部を繰り越して、合計40日分が有効に残っています。

一方、2025年1月1日以降に8日の年次有給休暇を取得して、当年度(2025年1月1日)に付与した年次有給休暇から消化すると、2026年1月1日時点の年次有給休暇は、次のようになります。

  1. 2025年1月1日に付与して、繰り越した12日分
  2. 2026年1月1日に付与した、20日分

当年度(2025年)分から消化すると、有効な残日数は合計32日分になります。

従業員にとっては、前年度分から消化した方が年次有給休暇を多く利用できます。会社にとっては、当年度分から消化した方が年次有給休暇の取得日数を抑えることができます。

ただし、毎年、当年度に付与した日数の範囲内で年次有給休暇を取得している従業員については、自由に取得できますので、どちらから消化しても問題になることはありません。どちらから消化するか意識していな会社の多くは、この状態と思います。

問題になるのは、従業員が退職したり、大きな病気を患ったりした場合です。なお、労働基準法では、前年度分か当年度分か、どちらから消化するかは決まっていません。就業規則で定めることができます。

有給休暇は古い方(前年度分)から消化すると思い込んでいる従業員が多いです。経営者もそう思っていれば、前年度分から消化してください。前年度分から消化する場合は、トラブルになることは考えにくいので、就業規則で定めなくても良いと思いますが、確認の意味で前年度分から消化することを記載しても構いません。

当年度分から消化する場合は、就業規則に当年度分から消化することを定めておく必要があります。就業規則に記載がないと、従業員は前年度分から消化するものと思い込んで、トラブルになる可能性があります。

ただし、これまでの慣行で前年度分から消化してきた場合は、その慣行が優先されますので、当年度分から消化するよう変更する場合は、従業員に説明をして同意を得る必要があります。


執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。中小零細企業の就業規則に関する悩みは全て解決いたします。日々の業務やホームページでは、分かりやすく伝えることを心掛けています。

もっと詳しく