年次有給休暇の買取り
年次有給休暇の買取り
- 年次有給休暇を買い取っていませんか?
- 年次有給休暇の買取りは、労働基準法に違反する行為です。
【解説】
労働基準法により、従業員が入社して6ヶ月が経過したときは、会社は10日分の年次有給休暇を付与することが義務付けられています。
そして、従業員が指定した日に休暇を取得して、会社は休暇日に対して賃金を支払わないといけません。
仮に、年次有給休暇の買取りを認めると(例えば、勤続6ヶ月後に10日分の付与と同時に10日分を買い取ると)、従業員は年次有給休暇を取得できません。
会社は労働基準法で認められている年次有給休暇の取得を拒否することになりますので、結果的に労働基準法違反ということになります。
労働基準法が改正されて、年5日の年次有給休暇の取得が義務付けられましたが、5日分の年次有給休暇を買い取っても法律をクリアしたことにはなりません。
また、従業員本人が買取りを希望したとしても同じです。労働基準法は、労使間の合意とは無関係に強制的に適用されます。
そもそも年次有給休暇とは、従業員の心身の疲労を回復し、ゆとりのある生活を保障することを目的とした制度です。
年次有給休暇の買取りは、制度の目的にも反します。付与日から2年間は有効に取得できる状態にしておく必要があります。
有効期間中の年次有給休暇の買取りは、労働基準法違反になります。では、翌年度に繰り越して未消化で権利が消滅する年次有給休暇を買い取ることも法律違反になるのでしょうか。
未消化の年次有給休暇を買い取ることを前提とすると、年次有給休暇の取得を抑制することになりますので、労働基準法の趣旨に反する行為と考えられています。
使い切れなかった年次有給休暇の買取りは従業員には喜ばれますが、するべきではありません。
ただし、退職に伴って権利が消滅する年次有給休暇を買い取ることは可能です。違法だと指摘されることはありません。
場合によっては、退職勧奨をするときに、交渉の材料として買取りを条件とすることがあります。また、従業員は退職日まで年次有給休暇を取得したいけれども、会社は引継ぎをして欲しいときに、出勤してもらう代わりに会社から買取りを提案することもあります。
労使間の合意に基づきますので、お互いに応じる義務はありません。
もっと詳しく
- 労働基準法 第39条第1項<有給休暇の付与>【なるほど労働基準法】
- 労働基準法 第39条第5項<有給休暇の時季変更権>【なるほど労働基準法】
- 労働基準法 第39条第7項<年5日の年次有給休暇の確実な取得>【なるほど労働基準法】
- 退職時の年次有給休暇【労務管理の知恵袋】
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