性別を理由とする差別の禁止

性別を理由とする差別の禁止

  • 従業員を募集するときに、対象者を「男性のみ」や「女性のみ」としていませんか?
  • 男女雇用機会均等法によって、男性又は女性に限定して募集することが禁止されています。

【解説】

男女雇用機会均等法(第5条)によって、次のように規定されています。

なお、男女雇用機会均等法は略称で、正式な名称は、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」と言います。

「事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。」

会社が従業員を募集したり、採用したりする際に、均等な機会を与えることが義務付けられていますので、男性又は女性に限定して募集することはできません。「男性歓迎」、「女性向きの仕事です」といった表示も認められません。

また、採用の可否を決定する際に、男女で異なる条件を設定したり、男女の一方を優先したり、男女で異なる取扱いをすることも禁止されています。男女を一緒くたにして取り扱う必要があります。

更に、男女雇用機会均等法(第7条)によって、次のように規定されています。「間接差別」と呼ばれる規定です。

「事業主は、募集及び採用並びに前条各号に掲げる事項に関する措置であって労働者の性別以外の事由を要件とするもののうち、措置の要件を満たす男性及び女性の比率その他の事情を勘案して実質的に性別を理由とする差別となるおそれがある措置として厚生労働省令で定めるものについては、当該措置の対象となる業務の性質に照らして当該措置の実施が当該業務の遂行上特に必要である場合、事業の運営の状況に照らして当該措置の実施が雇用管理上特に必要である場合その他の合理的な理由がある場合でなければ、これを講じてはならない。」

募集や採用をする際に、性別以外の事由を要件としていても、実質的に男女差別となる恐れがある措置を講じることが禁止されています。具体的には、厚生労働省令で、次のようなケースが挙げられています。

  1. 身長、体重、体力を採用の条件とする
  2. 転勤に応じられることを採用の条件とする

これらは直接的に男女を差別するものではありませんが、例えば、身長が165cm以上の者を採用の条件とすると、男性の比率が高くなりますので、実質的に男性に限定して募集していることになります。

ただし、例えば、「2.転勤に応じられること」については、実際にローテーションで転勤を命じているなど、業務を遂行するために必要な場合、事業を運営するために必要な場合は、これらを要件とすることが認められます。

また、例外的に、男女雇用機会均等法(第8条)によって、次のように規定されています。「ポジティブ・アクション」と呼ばれる規定です。

「前3条の規定は、事業主が、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となっている事情を改善することを目的として女性労働者に関して行う措置を講ずることを妨げるものではない。」

これまで女性を戦力として扱っていなかったような会社で、男女間で格差が生じている場合に、格差を解消・改善するために、女性を優先して採用することは違法ではありません。

グループごとに女性従業員の割合が4割を下回っている場合は、格差が生じていると判断されます。

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