ハローワークの求人票と固定残業代

ハローワークの求人票と固定残業代

  • 割増賃金(残業手当)を定額で支払っている場合は、求人票や募集要項にその旨を記載していますか?
  • 指針によって、割増賃金(残業手当)を定額で支払う場合は、3つの事項について明示することが義務付けられています。

【解説】

労働基準法(第37条)によって、従業員が時間外労働をしたときは、125%以上の割増賃金を支払うことが義務付けられています。

例えば、時給単価が1,600円の従業員が、1ヶ月に10時間の時間外労働をしたときは、10時間分の割増賃金として20,000円(=1,600円×1.25×10時間)を支払っている会社が一般的です。

このように時間外労働の時間に応じて(比例して)、割増賃金を支払う方法が原則ですが、労働基準法は労働条件の最低基準を定めた法律ですので、それを上回る取扱いは可能です。

例えば、1ヶ月40時間分の時間外労働に相当する割増賃金として、毎月8万円の固定残業代を支払うという方法です。実際の時間外労働の時間が10時間の月も20時間の月も8万円の固定残業代を支払います。

ただし、実際の時間外労働の時間が50時間になった月は、超過した10時間分の割増賃金を追加して支払う必要があります。その前月の時間外労働の時間が30時間だったとしても、相殺して超過分を不支給とすることは許されません。

「固定残業代」「定額残業手当」「みなし残業手当」など、会社によって呼び方は様々ですが、名称が違っても考え方は同じです。

そして、定額で割増賃金(残業手当)を支払う場合は、次の2通りの方法があります。

固定残業代の取扱いについて、採用面接の際に、会社から応募者に賃金額を明示していると思いますが、応募者がその賃金額に固定残業代が含まれていることを知らないで、入社後に労使間でトラブルに発展するケースが増えています。

そのような労使間の思い違いを防止するために、「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針」によって、割増賃金を定額で支払うことを予定している場合は、募集又は求人の段階で、次の事項を明示することが義務付けられています。

  1. 固定残業代の計算方法(固定残業時間及び金額)
  2. 固定残業代を除外した基本給の額
  3. 固定残業時間を超える時間外労働、休日労働、深夜労働に対する割増賃金を追加で支払うこと

これに呼応する形で、ハローワークに提出する求人申込書(求人票)について、次のように記載することが求められます。

  1. 固定残業代を除いた基本給の額:24万円
  2. 固定残業代の額:8万円(時間外労働の有無にかかわらず、月40時間分の時間外労働として支給)
  3. 固定残業代に関する特記事項:時間外手当は、時間外労働の有無にかかわらず、固定残業代として支給し、月40時間を超える時間外労働は法定どおり追加で支給

固定残業代を支給する場合は、具体的な固定残業代の額を記載することになっています。特に固定残業代を基本給に含めて支給する場合は、その区別が曖昧になりやすいので、基本給は固定残業代を含まない金額を記載します。

また、固定残業代が何時間分の時間外労働に相当するのか、具体的な固定残業時間を明示することが求められます。

ハローワークを利用しないで募集する場合も、トラブルを防止するために、募集要項にこのような内容を明示して、本人が理解できるように説明をするべきです。


執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。中小零細企業の就業規則に関する悩みは全て解決いたします。日々の業務やホームページでは、分かりやすく伝えることを心掛けています。

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