ハローワークの求人票と固定残業代

ハローワークの求人票と固定残業代

  • 残業手当を定額で支払っている場合は、求人票や募集要項にその旨を記載していますか?
  • 指針によって、固定残業代を支払う場合は、3つの事項について明示することが義務付けられています。

【解説】

従業員が残業(時間外労働や休日労働)をしたときは、残業した時間に応じて残業手当(時間外労働手当や休日労働手当)を支払う方法が原則です。

しかし、会社によっては、残業時間にかかわらず定額で残業手当を支払っている所があります。一定の要件を満たしている場合は、そのような方法も有効と認められます。

例えば、1ヶ月40時間分の時間外労働手当として、毎月5万円の一定額で固定残業代を支払うという方法です。ある月の時間外労働の時間が10時間であったとしても、5万円を支払います。

一方、ある月の時間外労働の時間が45時間になったときは、5時間分の時間外労働手当を追加で支払う必要があります。1ヶ月40時間に満たなかった月と相殺をして、不支給とすることは許されません。

「固定残業代」「定額残業手当」「みなし残業手当」など、企業によって呼び方は様々ですが、名称が違っても考え方は同じです。

そして、定額で残業手当を支払う場合は、次の2通りの方法があります。

この固定残業代の取扱いについて、採用面接の際に、会社から応募者に賃金額を明示して、応募者がその賃金額(や基本給)に固定残業代が含まれているとは知らないで、入社後に労使間でトラブルになるケースが増えています。

そのような労使間の思い違いを防止するために、募集や求人の段階で、次の事項を明示することが指針によって義務付けられています。

  1. 固定残業代の計算方法(固定残業時間と金額)
  2. 固定残業代を除外した基本給の額
  3. 固定残業時間を超える時間外労働、休日労働、深夜労働に対する割増賃金を追加で支払うこと

「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針」
青少年が応募する可能性のある募集又は求人について、一定時間分の時間外労働、休日労働及び深夜労働に対する割増賃金を定額で支払うこととする労働契約を締結する仕組みを採用する場合は、名称のいかんにかかわらず、一定時間分の時間外労働、休日労働及び深夜労働に対して定額で支払われる割増賃金(固定残業代)に係る計算方法(固定残業代の算定の基礎として設定する労働時間数(固定残業時間)及び金額を明らかにする)、固定残業代を除外した基本給の額、固定残業時間を超える時間外労働、休日労働及び深夜労働分についての割増賃金を追加で支払うこと等を明示すること

これに伴って、ハローワークに提出する求人申込書(求人票)についても、次のように記載することが求められます。

  1. 固定残業代:5万円(時間外労働の有無にかかわらず、月40時間分の時間外労働手当として支給)
  2. 基本給:20万円(固定残業代を除く)
  3. 特記事項:時間外労働手当は時間外労働の有無にかかわらず、固定残業代として支給し、月40時間を超える時間外労働に対する割増賃金は法定どおり追加で支給

固定残業代を支給する場合は、固定残業代として具体的な支給額を記載することになっています。特に固定残業代を基本給に含めて支給している場合は、その区別が曖昧になりやすいので、基本給には固定残業代を含まない金額を記載します。

また、固定残業代が何時間分の時間外労働に相当するのか、具体的な固定残業時間を明示することが求められます。固定残業時間が明確でないと、適正に時間外労働手当が支払われていることを確認できません。

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