募集時の年齢制限
募集時の年齢制限
- 従業員を募集するときは、年齢制限をしていませんか?
- 雇用対策法によって、募集及び採用について、年齢制限をすることが禁止されています。
【解説】
昔は、求人情報誌や求人広告に、「40歳以下の方を募集」や「35歳以下の方を歓迎」というような記載をしていることがよくありました。
しかし、雇用対策法が改正されて、平成19年から、募集の際に年齢制限をすることが禁止されています。雇用対策法(第10条)により、次のように規定されています。
「事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるときとして厚生労働省令で定めるときは、労働者の募集及び採用について、厚生労働省令で定めるところにより、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。」
原則として、会社が従業員を募集・採用するときは、年齢に関係なく、均等な機会を与えないといけません。
つまり、年齢によって応募者を制限したり、年齢によって不採用を決定したりすることが禁止されています。
これは、ハローワークで求人をする場合に限りません。民間の求人情報誌や求人広告を利用したり、自社のホームページに募集の案内を掲載したりする場合も同じです。
ただし、厚生労働省令(雇用対策法施行規則)によって、次のように一定の例外が認められています。この例外に当てはまるときは、例外に沿った内容で年齢制限を設けることができます。
- 定年年齢を上限として、その年齢未満の者を募集・採用する場合
【例:定年年齢を60歳としている会社が、60歳未満の者を募集する】
・期間を定めて雇用する場合は認められません。無期雇用で募集する場合に限られます。 - 労働基準法などの法律で、年齢制限が設けられている場合
【例:深夜業務、危険有害業務、警備業務で、18歳以上の者を募集する】 - 長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者を募集・採用する場合
【例:新卒者を主な対象として、35歳未満の若年者を募集する】
・期間を定めて雇用する場合は認められません。無期雇用で募集する場合に限られます。
・職務の経験は不問として、新卒者と同等の処遇にする必要があります。 - 特定の職種で、従業員数が少ない年齢層に限定して募集・採用する場合
【例:30歳から49歳までの特定の5歳幅から10歳幅の年齢層で、同じ年齢幅の上下の年齢層と比較して、従業員数が1/2以下のときに、少ない年齢層の者を募集する】
・期間を定めて雇用する場合は認められません。無期雇用で募集する場合に限られます。 - 芸術や芸能の分野で、表現の真実性等の要請がある場合
【例:芸術作品のモデルや演劇の役者で、それに合った年齢層の者を募集する】
・イベントコンパニオンは芸術や芸能の分野には該当しません。 - 60歳以上の高年齢者又は特定の年齢層の雇用を促進する国の施策の対象となる者に限定して募集・採用する場合
【例:特定求職者雇用開発助成金の対象者として、60歳以上65歳未満の者を募集する】
なお、以上のような例外事由に該当して、年齢制限を設ける場合は、求職者や職業紹介事業者に対して、その理由を提示することが義務付けられます。
ところで、会社が求める人材と応募者のミスマッチが続くと、会社としては年齢制限をしたくなる気持ちも分かります。しかし、仕事の適性があれば、年齢は関係ないはずです。
まずは、業務に必要な能力や経験、具体的な業務内容など、会社が求める人材像をできるだけ明らかにしてください。そして、それを求人広告等で明示すれば、ある程度はミスマッチを防げるようになると思います。
もっと詳しく
- 労働基準法 第61条<年少者の深夜労働の制限>【なるほど労働基準法】
- 労働基準法 第62条第2項<年少者の有害業務の制限>【なるほど労働基準法】
- 労働基準法 第63条<年少者の坑内労働の禁止>【なるほど労働基準法】
- 募集時の年齢制限の禁止【労務管理の知恵袋】
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