退職時の金品の返還

退職時の金品の返還

  • 退職した従業員が「賃金を直ぐに支払って欲しい」と請求してきたときは、会社は請求日から7日以内に賃金を支払っていますか?
  • 退職した従業員が請求したときは、賃金の支払日が来ていなくても、会社は請求された日から7日以内に賃金を支払わないといけません。

【解説】

労働基準法(第23条)によって、次のように規定されています。

「使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があった場合においては、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。」

退職した従業員(解雇された従業員も含みます)が請求したときは、会社は7日以内に賃金を支払わなければならないことが規定されています。従業員が死亡したときに、その遺族(相続人)が請求した場合も同じです。

例えば、賃金の計算期間が毎月1日から末日、支払日が翌月10日の会社で、従業員が2月15日に退職したとします。

従業員が退職して、「賃金を支払って欲しい」と2月20日に請求してきたときは、会社は2月27日までに賃金を計算して支払う必要があります。退職日から7日以内ではなく、請求日から7日以内です。

従業員が請求をしなければ、通常どおり、翌月の3月10日に最後の賃金を支払うことになります。請求の有無がポイントになります。

請求できることを知っている従業員は少ないので、このような請求をしてくるケースはほとんどありません。請求できることを知っている経営者も少ないので、間違って支払いを拒否することも考えられます。

また、積立金、保証金、貯蓄金など、会社が預かっている本人の金品も、請求日から7日以内に返還しないといけません。

このときに、労使協定に基づいて賃金から控除してきた従業員旅行の積立金や親睦会の費用等について、返還するかどうかでトラブルになることがあります。

項目ごとに控除する目的や退職時の返還の有無等について、明確に定めて、最初に賃金から控除する際に従業員に周知しておく必要があります。

これに関連して、同じ労働基準法第23条の第2項で、次のように規定されています。

「前項の賃金又は金品に関して争がある場合においては、使用者は、異議のない部分を、同項の期間中に支払い、又は返還しなければならない。」

異議がある部分は一旦保留できますが、異議がない部分については、会社は支払う(返還する)必要があります。

なお、退職金については、退職金規程(就業規則)で支払い時期を定めていれば、その規定に従って支払うことになります。従業員が請求したとしても、7日以内に支払う義務はありません。

しかし、退職金規程(就業規則)に支払い時期が定められていない場合は、労働基準法の規定が適用されますので、請求日から7日以内に支払う義務が生じます。

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