無期転換ルールの適用除外(第二種計画認定)

無期転換ルールの適用除外(第二種計画認定)

  • 定年退職後に再雇用をして、有期労働契約の契約期間が5年を超える可能性がある場合は、都道府県労働局に「第二種計画認定・変更申請書」を提出して、認定を受けていますか?
  • 認定を受けていない場合、定年退職後に有期労働契約の契約期間が5年を超えた従業員は、無期労働契約に転換するよう申し込める権利が発生します。会社はその申込みを拒否できません。

【解説】

労働契約法(第18条)によって、次のように規定されています。

「同一の使用者との間で締結された2以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間が5年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。・・・」

要約すると、有期労働契約を更新して、契約期間が通算して5年を超えた場合、従業員は会社に対して、期間の定めのない労働契約の締結を申し込めることが定められています。会社はその申込みを拒否できません。

期間の定めのない労働契約(=無期労働契約)に転換すると、契約期間の満了による雇止めが不可能になりますので、就業規則で定めている解雇事由や退職事由に該当しない限り、辞めてもらうことができません。

このルールは、原則的には、定年退職後に嘱託従業員として再雇用して、有期労働契約を締結・更新する者にも適用されます。

例えば、60歳で定年退職して、65歳まで1年毎に有期労働契約を更新して、65歳以降に有期労働契約を締結すると、無期労働契約に転換するよう申し込めます。定年年齢が65歳の場合は、70歳以降に無期転換を申し込む権利が発生します。

一旦、定年退職した者が再度、無期労働契約に転換すると、不都合が生じると考える会社が多く、それを回避するために65歳以降の雇用を中止することが予想されます。

労使双方に生じる弊害を解消するために、例外として、適切な雇用管理に関する計画を作成して、都道府県労働局長の認定を受けた場合は、定年退職後に有期労働契約の契約期間が5年を超えても、無期転換を申し込む権利が発生しません。無期転換のルールの適用が除外されます。

この認定のことを「第二種計画認定」と言います。認定を受けるための「第二種計画認定・変更申請書」の様式は、下のページからダウンロードできます。

なお、定年退職後に再雇用をして、有期労働契約の契約期間が5年で満了する(5年を超えない)場合は、労働契約法の無期転換のルールは適用されませんので、5年を超える可能性がない場合は、認定を受ける必要はありません。

また、現在、60歳以上の従業員がいない場合も、その間は認定を受けなくても構いません。認定を受けるために、申請書を提出しようとしても、具体的な取扱いが不明で、高年齢者に対する措置の実施が困難と思います。

「第二種計画認定・変更申請書」の記載方法は、次の手順で行います。

1 申請事業主

会社名や所在地、電話番号等を記入します。

2 第二種特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置の内容

実施する措置に“レ”を入れます(1ヶ所以上)。

□高年齢者雇用推進者の選任
高年齢者雇用安定法により、作業施設の改善その他の諸条件の整備を図るための業務を担当する者として、知識及び経験を有している者の中から「高年齢者雇用推進者」を選任するよう努めることとされています。これを選択するケースが多いと思います。

□職業訓練の実施
高年齢者の有する知識、経験等を活用できるようにするための効果的な職業訓練として、業務の遂行の過程外における
・教育訓練の実施
・教育訓練の受講機会の確保

□作業施設・方法の改善
身体的機能や体力等が低下した高年齢者の職業能力の発揮を可能とするための
・作業補助具の導入を含めた機械設備の改善
・作業の平易化等作業方法の改善
・照明その他の作業環境の改善
・福利厚生施設の導入・改善

□健康管理、安全衛生の配慮
身体的機能や体力等の低下を踏まえた
・職場の安全性の確保
・事故防止への配慮
・健康状態を踏まえた適正な配置

□職域の拡大
身体的機能の低下等の影響が少なく、高年齢者の能力、知識、経験等が十分に活用できる職域を拡大するための企業における労働者の年齢構成の高齢化に対応した職務の再設計などの実施

□職業能力を評価する仕組み、資格制度、専門職制度等の整備
・高年齢者の知識、経験等を活用できる配置、処遇の推進のための職業能力を評価する仕組み
・資格制度、専門職制度などの整備

□職務等の要素を重視する賃金制度の整備
高年齢者の就労の機会を確保するための能力、職務等の要素を重視する賃金制度の整備

□勤務時間制度の弾力化
高齢期における就業希望の多様化や体力の個人差に対応するための勤務時間制度の弾力化
(例)短時間勤務、隔日勤務、フレックスタイム制、ワークシェアリングの活用

3 その他

「□高年齢者雇用安定法第9条の高年齢者雇用確保措置を講じている。」に“レ”を入れます。そして、次の一方に“レ”を入れます。

┌「□65歳以上への定年の引き上げ」
└「□継続雇用制度の導入」

「□継続雇用制度の導入」に“レ”を入れた場合は、次の一方に“レ”を入れます。

┌「□希望者全員を対象」
└「□経過措置に基づく労使協定により継続雇用の対象者を限定する基準を利用」

雇用管理に関する措置の内容で、高年齢者雇用等推進者を選任する場合は、これを確認する書類として、高年齢者雇用状況報告書(ハローワークに提出したもの)、又は、社内文書(辞令・選任のお知らせ等)のコピーを添付します。

その他の措置を実施する場合は、雇用契約書、職業訓練計画書、改善計画報告書のコピーなど、“レ”を入れた措置を実施することが分かる資料を添付します。

また、定年制度や継続雇用制度を規定している就業規則の該当部分と労働基準監督署の受付印があるページのコピーを添付します。

「第二種計画認定・変更申請書」と添付書類は、それぞれ2部提出してください。1部は控えとして返却されます。

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