労働基準法違反の契約の合意(残業手当の受取拒否)
労働基準法違反の契約の合意(残業手当の受取拒否)
- 従業員が「残業手当はいらない」、「休憩時間はいらない」、「休日はいらない」と言った場合に、そのまま聞き入れていませんか?
- 従業員が希望したとしても、労働基準法に違反する契約(取扱い)は無効で、会社が労働基準法違反をしたことになります。
【解説】
会社と従業員は、労働契約の関係にあります。労働契約も契約ですので、原則として、契約の内容(労働条件)は当事者間の合意に基づいて決定します。
しかし、人たるに値する生活を営むことができるように、労働基準法によって、労働条件の最低基準が定められています。そのため、労働契約の内容(労働条件)は、その最低基準を上回る内容にしないといけません。
労働基準法(第13条)によって、労働基準法の最低基準に達しない労働契約は、その部分は無効になって、労働基準法の最低基準が適用されことが規定されています。
労働基準法は、当事者の合意に関係なく強制的に適用されることから、強行法規と呼ばれています。
そして、労働基準法(第37条)によって、従業員が時間外労働をしたときは、会社はその時間に応じて割増賃金(残業手当)を支払うことが義務付けられています。
会社が一方的に割増賃金(残業手当)を支払わない行為は問題外ですが、何か事情があって、従業員が「残業手当はいらない」と言ったとしても、労働基準法は適用されます。
従業員の発言を受け入れて、割増賃金(残業手当)を支払わないと、会社が労働基準法違反を犯したことになります。更に、3年前までさかのぼって割増賃金(残業手当)を支払わされます。
これは割増賃金(残業手当)に限った話ではありません。例えば、最低賃金、休日、休憩など、他の労働条件についても同じことが言えます。
従業員が会社に有利な申出をしてきたとしても、会社は安易に受け入れてはいけません。労働基準法の規定を正しく理解して、対応する必要があります。

執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。中小零細企業の就業規則に関する悩みは全て解決いたします。日々の業務やホームページでは、分かりやすく伝えることを心掛けています。

