身元保証書と印鑑登録証明書

身元保証書と印鑑登録証明書

採用時の提出書類として、就業規則に身元保証書を追加することを考えています。身元保証人には実印を押印してもらって、印鑑登録証明書の提出を求めた方が良いでしょうか?

法律的には、印鑑登録証明書がなくても、身元保証人に対して損害賠償を請求できます。

採用時の提出書類として、身元保証書とセットで印鑑登録証明書を求めている会社がありますが、身元保証人が押印したものであれば、認印や三文判でも効力は同じです。

つまり、認印や三文判で押印した身元保証書であっても、従業員が会社に損害を与えたときは、会社は身元保証人に対して損害賠償を請求できます。

ただし、印鑑登録証明書があれば、架空の人物でないことを確認できます。

高額の商品や現金を取り扱っていて、損害賠償を請求する可能性が高かったり、実際に損害賠償の請求を検討したことがある会社については、印鑑登録証明書があれば、安心できると思います。

しかし、そこまで求めると、負担になって身元保証人の引受手が見付からないケースがありますので、印鑑登録証明書を求めている会社は少ないです。

また、身元保証書については、他にも注意点があります。

2020年から民法が改正されて、保証人が支払い義務を負う上限額(極度額)を定めていない身元保証書(保証契約)は無効になることが定められました。

したがって、身元保証人に損害賠償を請求する可能性がある場合は、次のように、あらかじめ身元保証書に具体的な上限額を記載しておく必要があります。

「本人が貴社の就業規則その他諸規程に違反し、若しくは、故意又は過失によって、貴社に損害を与えた場合は、1000万円を上限として、その損害を賠償します。」

身元保証書の有効期限にも注意が必要です。これは以前から変わっていませんが、有効期限は、期間の定めのない場合は3年、期間を定める場合は最長5年です。

身元保証書の自動更新はできませんので、更新をする場合は、改めて身元保証書を作成して、提出してもらう必要があります。