複数年の有期労働契約

複数年の有期労働契約

採用したパートタイマーが定着しないので、3年の期間を定めて雇用することを考えていますが、問題がありますか?

期間を定めて雇用する場合に、1年を超える契約期間を設定する方法はデメリットの方が大きいので、お勧めしていません。

労働基準法(第14条)によって、労働契約の期間について、次のように規定されています。

期間を定めて労働契約を締結する場合は、原則として、3年を超える期間を定めることが禁止されています。したがって、最長3年間とすることができます。

しかし、労働基準法(第137条)によって、次のように規定されています。

要するに、1年を超える期間を定めて労働契約を締結した場合は、勤務を開始して1年が経過すれば、従業員は自由に退職できることが定められています。従業員の退職の自由は保護するべきと考えられていますので、会社が3年間の勤務を強制することはできません。

一方、労働契約法(第17条)によって、次のように規定されています。

期間を定めて労働契約を締結した場合は、会社はやむを得ない事由(横領、機密漏洩、信用失墜行為等)がない限り、契約期間の途中で解雇することが禁止されています。

例えば、3年の有期労働契約を締結して、勤務を開始して1年が経過したときに会社都合で解雇すると、残りの2年分の賃金の支払いが義務付けられます。

以上のように、1年を超える有期労働契約を締結する場合は、労働者保護が優先されて、会社のみが制限を受けることになります。期間を定めて雇用する場合は、最長でも1年間とするのが良いと思います。

人材確保は簡単なことではありませんが、仕事のやりがいを感じてもらうよう工夫したり、退職理由を調査してそれをなくすことが、長期的に見ると効果的と思います。