管理監督者の欠勤控除

管理監督者の欠勤控除

管理監督者が欠勤したときは、賃金を控除しても良いのでしょうか?

管理監督者が、遅刻・早退をしたときは賃金を控除することはできませんが、欠勤をしたときは賃金を控除しても構いません。

労働基準法(第41条)により、「監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者)については、「労働時間、休憩及び休日に関する規定」が適用されないことになっています。

この規定により、管理監督者には時間外労働や休日労働が生じないことになり、会社は時間外勤務手当や休日勤務手当の支払いが不要になります。

なお、管理監督者であっても、深夜業に関する規定の適用は除外されていないことから、深夜の時間帯に勤務をしたときは深夜勤務手当を支払う必要があります。

そして、管理監督者と認められるためには、次の3つの条件を全て満たしていないといけません。

  1. 経営者と一体的な立場で仕事をしている
  2. 労働時間について厳格な制限を受けていない
  3. その地位にふさわしい待遇がなされている

遅刻や早退をしたときに賃金を控除していると、2.の労働時間について制限を受けていると判断され、管理監督者と認められないことになります。

しかし、欠勤をしたときに賃金を控除しても、管理監督者としての位置付けが否定されることはありません。

冒頭にお伝えしたとおり、管理監督者に適用されないのは、「労働時間、休憩及び休日に関する規定」となっていますので、年次有給休暇に関する規定は適用されます。

年次有給休暇の規定が適用されるということは、年次有給休暇を取得した場合と取得しなかった場合で、異なる結果が生じるということです。

年次有給休暇とは、出勤する義務がある日(出勤日)の勤務を免除して、通常の賃金を支払うという制度です。

年次有給休暇を取得しなければ、出勤日の勤務は免除されません。つまり、年次有給休暇を取得しないで出勤日に休んだ場合は、欠勤となりますので、賃金を減額、控除することができます。

もちろん、管理監督者が欠勤したときに、賃金を減額しないで満額を支払っても構いませんが、欠勤控除をしても問題になることはありません。

また、出勤日の勤務は免除されませんので、管理監督者が無断欠勤をした場合は、就業規則に基づいて懲戒処分の対象とすることも考えられます。

以上により、管理監督者については、会社が出退勤の時刻を規制することはできませんが、出勤日の出勤を義務付けることは可能で、欠勤したときは賃金を減額、控除しても構いません。