管理監督者の欠勤控除
管理監督者の欠勤控除
管理監督者が欠勤したときは、賃金を控除しても良いでしょうか?
管理監督者が、遅刻・早退をしたときは賃金を控除することはできませんが、欠勤をしたときは賃金を控除しても構いません。
労働基準法(第41条)によって、「監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者)については、「労働時間、休憩及び休日に関する規定」を適用しないことになっています。
この規定によって、管理監督者には、時間外労働や休日労働という概念がなくなりますので、結果的に、時間外勤務手当や休日勤務手当の支払いが不要になります。
ただし、管理監督者であっても、深夜業に関する規定の適用は除外されていませんので、深夜の時間帯に勤務をしたときは、25%の深夜勤務手当を支払う必要があります。
そして、管理監督者と認められるためには、次の3つの条件を全て満たしている必要があります。
- 経営者と一体的な立場で仕事をしている
- 労働時間について制限を受けていない
- その地位にふさわしい待遇を受けている
遅刻や早退をしたときに、会社が不就業の時間に対する賃金を減額・控除していると、2.の労働時間について制限を受けていると判断されて、管理監督者と認められない要因になります。
しかし、欠勤をしたときに賃金を減額・控除しても、管理監督者としての位置付けが否定されることはありません。
繰り返しになりますが、管理監督者に適用されないのは、「労働時間、休憩及び休日に関する規定」です。これに休暇は含まれていませんので、管理監督者にも年次有給休暇の規定が適用されます。
年次有給休暇の規定が適用されるということは、年次有給休暇を取得した場合と取得しなかった場合で、異なる結果になるということです。
年次有給休暇とは、出勤する義務がある日(出勤日)の勤務を免除して、通常の賃金を支払うという制度です。年次有給休暇を取得しなければ、出勤日の勤務は免除されません。その日は欠勤扱いとして、賃金を減額・控除することになります。
欠勤控除をしても問題にならないということで、管理監督者が休日労働をしたり、それなりの貢献をしている場合は、欠勤した日について、減額しないで通常の賃金を支払っても構いません。
また、年次有給休暇を取得しない場合は、出勤日の勤務は免除されませんので、管理監督者が無断欠勤をした場合は、就業規則に基づいて懲戒処分の対象とすることも考えられます。
以上により、管理監督者については、会社が出退勤の時刻を管理して、遅刻・早退の時間分の賃金を減額・控除することはできませんが、欠勤した日の賃金を減額・控除することは可能です。年次有給休暇を取得したときは、一般従業員と同様に有給で処理をすることになります。