残業手当と賃金控除

残業手当と賃金控除

これまでは、従業員が残業をしても残業手当を支払っていなかったのですが、残業手当を支払うよう改めたいと考えています。また、これまでは、遅刻をしても賃金を減額(控除)していなかったので、同時に減額(控除)しようと考えています。問題はありますか?

法律的に正しい取扱いですので、方針としては良いと思います。

従業員が遅刻や早退をしたときは、ノーワークノーペイの原則によって、不就業の時間に対する賃金は支払う義務がありません。月給制の場合は、不就業の時間分の賃金を減額できます。

しかし、これまで、遅刻や早退をしても賃金を減額していなかったとすると、その取扱いが労使慣行(労働慣行)になっている場合があります。

つまり、就業規則には記載していないけれども、暗黙のルールが成立しているものとして、就業規則と同程度の効果が認められて、賃金を減額しない取扱いを継続するよう求められる可能性があります。

また、労働契約法によって、次のように規定されています。

「第8条 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。」

「第9条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。」

したがって、従業員が遅刻や早退をしたときに、賃金を減額するよう取扱いを変更する場合は、従業員から同意を得る必要があります。

一方、従業員が残業をしたときは、会社は残業時間に応じて残業手当を支払う義務があります。残業手当を支払っていないと、賃金の不払いとして、労働基準法違反になります。

違法行為については、労使慣行(労働慣行)が成立することはありません。違法行為は是正する必要がありますので、残業手当は支払うように取扱いを改めるべきです。

法定外の部分で労働条件(賃金の取扱い等)を変更する場合は、従業員から同意を得るために、会社から変更の理由や経緯を説明することが欠かせません。変更と同時に、適正に残業手当を支払って、法律的に正しい取扱いに改めることを約束すれば、従業員から理解を得られると思います。

もし、会社が説明をしないまま労働条件(賃金の取扱い等)を変更すると、会社に対して不信感を持たれます。また、従業員から同意を得ないで労働条件を変更しても、労働契約法によって、変更は無効ですので、問題が大きくなると会社は不利な立場に立たされます。取扱いを変更する場合は、前もって従業員と話し合うことが重要です。