求人票と実際の労働条件の相違

求人票と実際の労働条件の相違

求人票を出して正社員の募集をしましたが、当社が求める条件をクリアする応募者がいませんでしたので、基本給を減額して契約社員として採用することを考えています。問題がありますか?

求人票の労働条件と実際の労働条件の相違について、求職者に事情を説明して、本人が同意すれば違法ではありません。

ハローワークで従業員を募集するときは、ハローワークに求人票を提出して行います。

そして、採用面接をしたり、入社した後になって、実際の労働条件が求人票の内容と違うことが判明して、トラブルになるケースがあります。よくあるトラブル事例は、次のとおりです。

ハローワークでも対策に乗り出していて、求人票の内容と実際の労働条件が異なっている場合は、「ハローワーク求人ホットライン」で相談を受け付けています。そして、ハローワークで事実確認をした上で、会社に対して是正指導を行うことになっています。

職業安定法(第5条の3)では、求人企業は求職者に対して、従事すべき業務の内容、賃金、労働時間その他の労働条件を明示することが義務付けられています。

また、求人企業が、明示した従事すべき業務の内容、賃金、労働時間その他の労働条件を変更する場合は、求職者に対して、変更する内容を明示しないといけません。

求人票の労働条件は確定した内容ではありませんので、実際の労働条件と違っていても、直ちに違法になることはありません。会社と本人が話し合って合意すれば、変更した労働条件で採用することが可能です。

例えば、正社員として求める条件をクリアしていないといった事情がある場合は、本人に丁寧に説明をして、改めて具体的な労働条件を明示することが求められます。会社から説明をしないで、求職者に対して、契約社員として採用することを提案しても、不信感を持たれると思います。

そして、労働基準法(第15条)によって、従業員を採用するときは、労働条件を明示することが義務付けられています。また、一定の労働条件については、雇用契約書や労働条件通知書を作成して、書面で明示することになっています。

求人票の労働条件と雇用契約書の労働条件の内容が違っていても、違法ではありませんが、雇用契約書の労働条件と実際の取扱いが違っている場合は、契約違反となりますので、問題があります。

雇用契約書に本人の署名があれば、その労働条件で同意したことを示す証拠になります。労働条件通知書は、会社から従業員に一方的に明示するものですので、本人の同意の有無が曖昧になりやすいです。特に労働条件を変更する場合は、口頭ではなく、書面で同意を得ることが望ましいです。

なお、虚偽の条件を提示して、労働者を募集したときは、職業安定法違反として、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が設定されています。

最初から、期間を定めて契約社員として採用をして、見込みがあれば正社員に転換することを予定している場合は、正社員で募集していると、虚偽の条件の提示と指摘される恐れがありますので、”契約社員”で募集を行うべきです。

また、求人票と仕事の内容が大きく異なる場合は、別の求人として、ハローワークで改めて手続きを行うことが望ましいです。