採用とトライアル雇用 助成金

採用とトライアル雇用 助成金

従業員を募集していて、応募者を2人に絞り込んだのですが、Aさんは「トライアル雇用」の助成金の対象になっていて、Bさんは対象外です。やはり、Aさんを採用した方が良いでしょうか?

採用の決断をするときに、「トライアル雇用」の助成金を受けられるかどうかは、考慮に入れない方が良いです。

仮に、月給20万円で従業員を採用したとすると、賃金は1年間で240万円になります。そして、一旦、採用を決めると、通常、数年間は在籍しますので、会社は賃金を支払い続けます。

月給20万円の従業員が4年間在籍したとすると、約1000万円になります。つまり、1人採用するということは、1000万円に相当する投資と同じです。

1000万円の設備投資をするときは、慎重に検討してから決断を下す一方で、採用をするときは安易に決めていないでしょうか。

採用時は同じ程度の従業員と思っていても、その後の会社に対する貢献度を比べると、従業員によって、年間で数十万円、場合によっては数百万円の差が生じることも珍しくはないと思います。

一方、トライアル雇用の助成金を受給できたとしても、最大で、12万円(月額4万円×3ヶ月)です。数年間の賃金や貢献度と比較をすると、誤差みたいなものです。

したがって、採用の決断をするときは、「トライアル雇用」の助成金を受けられるかどうかは考慮に入れない方が良いです。誰を採用するかは、会社が求める人材にどちらが近いかを優先して決めるべきです。

トライアル雇用などの低額の助成金だけではなく、100万円を超える助成金であっても同じことが言えます。

助成金は、政府の政策に合わせた制度を設けたり、就職が困難な者を採用したり、基本的には法律で求められた以上の取り組みをしている会社に対して支給されます。

会社に意図があって自発的に行うのであれば引き止めるようなことは言いませんが、助成金を受給することを前提にして、決断を下すことは避けるべきです。

助成金の金額が大きいということは、それに相応する負担が会社に生じるということです。無理をして会社に合わない取り組みをすると、数年後に後悔をする可能性が高いです。

「助成金を受給できなくても同じことをするか?」と自問して、助成金に振り回されないようにしてください。