退職日以降の年次有給休暇の取得

退職日以降の年次有給休暇の取得

従業員が退職する予定ですが、未消化で使い切らなかった年次有給休暇はどうすれば良いでしょうか?

退職日までに使い切らなかった年次有給休暇は、無効になります。会社がすることは、特にありません。

年次有給休暇とは、出勤日(出勤の義務がある日)の勤務を免除して、賃金を支払うという制度です。そのため、休日に年次有給休暇を取得することはできません。

手続きとしては、従業員が前日までに具体的な出勤日(取得日)を指定して請求しますが、退職日以降は出勤日がありませんので、手続きに必要な出勤日の指定ができません。

したがって、未消化の年次有給休暇が残っていたとしても、退職日以降は取得できませんので、退職日までに使い切らなかった未消化の年次有給休暇は、無効になります。

労働基準法(第39条)によって、6ヶ月継続勤務をした従業員に対して、10日の年次有給休暇を付与することが義務付けられています。その後は、継続勤続年数に応じて付与日数が増加して、6年6ヶ月以上継続勤務をした従業員に対して、最大20日の年次有給休暇を付与することが義務付けられています。

これは、従業員に対して年次有給休暇を請求する権利が与えられるということです。そして、労働基準法(第115条)によって、年次有給休暇の請求権は、付与された日から2年間行使しないと時効によって消滅することが定められています。

そのため、付与した年度内に使い切らなかった年次有給休暇は、翌年度に繰り越して、翌年度も未消化で使い切らなかった年次有給休暇は、時効によって権利が消滅します。就業規則でも、未消化の年次有給休暇は、翌年度に限って繰り越せることを記載していると思います。

年次有給休暇を取得する権利が消滅するという意味では、時効によって消滅する場合、退職によって消滅する場合も同じです。

年次有給休暇の請求権は、退職日という期限が定められた権利ですので、退職日までに行使しなければ、その利益を受けることはできなくて、権利が消滅します。

なお、従業員から退職に伴って権利が消滅する年次有給休暇の買取りを求められても、会社に応じる義務はありません。また、従業員が退職日まで年次有給休暇の取得日を指定して請求したときは、正当な権利の行使ですので、会社は拒否できません。