出勤停止と自宅待機

出勤停止と自宅待機

就業規則の懲戒処分の1つに出勤停止がありますが、自宅待機や自宅謹慎を命じることはできますか?

従業員が違反行為をして、会社が出勤停止を決定したとしても、自宅待機や自宅謹慎を命じることはできません。

会社が懲戒処分を行う場合は、就業規則に懲戒処分の種類及び懲戒の事由など、その根拠となる規定を設けている必要があります。

出勤停止は懲戒処分の1つで、一定期間の出勤を停止(禁止)して、その期間に対する賃金を支払わないという制度です。通常の就業規則であれば、懲戒処分に出勤停止の規定があると思います。

会社の施設は会社に管理をする権限がありますので、会社の施設への立入りを禁止(出勤を停止)することは可能です。しかし、会社の施設外における従業員の行動については、会社が制限することはできません。

また、会社が賃金を支払っている労働時間であれば、従業員に対して指示や命令を行えますが、出勤停止の期間は無給ですので(労働時間ではありませんので)、従業員に対して指示や命令をすることはできません。

したがって、出勤停止の期間は、従業員は会社に出勤することはできませんが、それ以外は自由に行動できます。自宅待機や自宅謹慎を命じる権限は、会社にはありません。

そのため、出勤停止の期間中に、従業員が旅行や遊びに出掛けたりしても、それを理由にして、会社が更に懲戒処分を科すことは許されません。

懲戒処分として出勤停止を行う場合は以上のとおりですが、賃金を支払った上で、業務命令として労働時間に自宅待機や自宅謹慎を命じることは可能です。

しかし、その場合でも、嫌がらせや退職させることが目的の場合は認められず、不正行為の証拠を隠滅する恐れがあったり、調査等の事情があって会社からの急な呼出しに対応するよう待機させたり、合理的な理由が必要です。