出勤停止と自宅待機・自宅謹慎

出勤停止と自宅待機・自宅謹慎

当社の就業規則の懲戒処分の1つに出勤停止がありますが、自宅待機や自宅謹慎とは違うのでしょうか?

従業員が違反行為をして、会社が出勤停止の懲戒処分を行ったとしても、自宅待機や自宅謹慎を命じることはできません。

労働基準法(第89条)によって、従業員数が10人以上の会社は、一定の事項について、就業規則を作成して、労働基準監督署に届け出ることが義務付けられています。

また、就業規則に定める事項の1つとして、「表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項」が挙げられています。

要するに、会社が懲戒処分を行う場合は、就業規則を作成して、懲戒処分の種類及び程度、懲戒事由など、その根拠となる規定を設けている必要があります。

そして、出勤停止とは、出勤を一定期間停止・禁止して、その期間に対する賃金を支払わないという懲戒処分です。通常の就業規則であれば、懲戒処分の種類の1つに出勤停止を定めていると思います。

会社の施設は会社に管理をする権限がありますので、従業員に対して、会社の施設への立入りを禁止(出勤を停止)することは可能です。しかし、会社の施設外における従業員の行動については、会社が制限することはできません。

会社が賃金を支払っている労働時間であれば、従業員に対して、指示や命令を行えますが、出勤停止の期間は無給で、労働時間ではありませんので、従業員に対して、指示や命令をすることはできません。

したがって、会社に、自宅待機や自宅謹慎を命じる権限はありません。従業員は自由に行動できますので、出勤停止の期間中に旅行や遊びに出掛けたりしても、それを理由にして、会社が更に懲戒処分を科すことは許されません。

懲戒処分として出勤停止を行う場合は以上のとおりですが、賃金を支払えば、業務命令として自宅待機や自宅謹慎を命じることができます。

しかし、その場合でも、嫌がらせや退職させる等、不当な目的があって命じる場合は認められません。調査等の事情があって、会社からの急な呼出しに対応するよう自宅で待機させる等、合理的な理由が必要です。


執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。中小零細企業の就業規則に関する悩みは全て解決いたします。日々の業務やホームページでは、分かりやすく伝えることを心掛けています。