解雇するときの理由

解雇するときの理由

  • 従業員を解雇するときは、解雇に相当する程度の理由がある場合に限定していますか?
  • 従業員を解雇するときは、客観的に合理的な理由が必要で、世間的にも解雇が相当と認められるような理由がないと、無効になります。

【解説】

通常、従業員は会社から支払われる賃金を収入源として生活していますので、理由もないのに解雇されると、路頭に迷ってしまいます。

従業員を保護するために、労働契約法(第16条)では、次のように規定されています。

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」

つまり、従業員を解雇するときは、客観的に合理的な理由が必要で、世間的にも解雇が相当と認められる必要があるということです。理由が不十分な場合は、その解雇は無効になります。

例えば、1年前に解雇をして、裁判で「その解雇は無効だ」(不当解雇)と判断されると、会社は1年前にさかのぼって賃金を支払わないといけません。

解雇が無効とすると、解雇された以降は本当だったら勤務して賃金を受け取れたのに、会社のミスで勤務できなかったのだから、その責任は会社にあるということで、その間の賃金を支払わされます。

紛争が解決されないまま長期間になると、賃金が数百万円に達しますので、解雇の判断は慎重に行う必要があります。

労働契約法の条文を見てもらうと分かるとおり、判断基準が抽象的で曖昧ですので、解雇が有効なのか無効なのか、事前に予測することが難しいです。

例えば、従業員が、100万円を超える横領をしたり、社内で刑事事件を起こしたり、2週間以上の無断欠勤をしたり、誰もが「解雇されても仕方がない」と思うような強烈な違反行為(理由)があれば、解雇は正当と認められやすいです。

しかし、能力不足や協調性不足のように、はっきりした違反行為がない場合は、解雇は正当と認められにくいです。

解雇は最終手段と考えられていますので、改善する見込みがある場合は、会社は解雇を回避するために、配置転換や指導、教育訓練など、できる限りの対応をすることが求められます。

また、当事者になると判断に偏りが生じますので、「解雇に相当するかどうか」、第三者(専門家)に相談して意見を求めるようお勧めいたします。

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