再雇用で勤続年数をリセット

再雇用で勤続年数をリセット

  • 正社員が定年退職して、嘱託従業員として再雇用したときに、年次有給休暇の付与日数の基準となる勤続年数は、どのように計算していますか?リセットしていませんか?
  • 年次有給休暇の付与日数の基準となる勤続年数は、在籍期間で判断しますので、正社員として勤務していた期間も通算してカウントする必要があります。

【解説】

労働基準法によって、年次有給休暇は、次のように勤続年数に応じて定められた日数を付与することが義務付けられています。

勤続年数0.51.52.53.54.55.56.5年以上
付与日数10111214161820

正社員から嘱託従業員に切り替えて再雇用する場合は、形式的には一旦退職して、雇用契約を締結し直しますので、「年次有給休暇の勤続年数はリセットされるのではないか?」と考えられそうです。

しかし、通達によって、労働基準法において年次有給休暇の付与日数を決定する際は、「勤続年数=在籍期間」とみなすことが示されています。

形式的に退職と再雇用をしたとしても、在籍期間が継続していれば、勤続年数として通算しないといけません。雇用形態の変更は影響しませんので、パートタイマーから正社員に転換するような場合も同じです。形式より実態の方を優先するのが、労働基準法の原則的な考え方です。

仮に、就業規則に、嘱託従業員として再雇用するときは、年次有給休暇の勤続年数をリセットするというような規定を設けていたとしても、労働基準法に違反する取扱いですので、無効です。

ただし、会社が任意で設けている制度については、会社が自由に決定できますので、例えば、退職金額の算出に用いる勤続年数の取扱いについては、就業規則や退職金規程の定めによります。例えば、退職金額の算出において、パートタイマーとして勤務していた期間は勤続年数に通算しない取扱いは可能です。

また、未消化の年次有給休暇が残っていた状態で、実際に退職したときは、退職に伴って年次有給休暇を取得する権利は消滅します。

しかし、正社員から嘱託従業員に切り替えて再雇用したときは、在籍期間が継続していますので、未消化の年次有給休暇が残っていれば、嘱託従業員に切り替わっても引き続き(残日数はそのまま)利用できます。繰り返しになりますが、雇用形態を変更しても年次有給休暇の取扱いには影響しません。

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