試用期間と勤続年数
試用期間と勤続年数
- 年次有給休暇は6ヶ月勤務した時点で付与することが労働基準法で義務付けられていますが、試用期間も勤続年数に加算していますか?
- 労働基準法では、年次有給休暇の付与について、試用期間だからといって特別な取扱いは想定されていません。試用期間も通常の本採用後と同じように、勤続年数に加算されます。
【解説】
年次有給休暇の付与については、労働基準法(第39条)によって、次のように規定されています。
「使用者は、その雇入れの日から起算して6ヶ月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。」
ここでは「雇入れの日から起算して6ヶ月間継続勤務し」と記載されているだけで、試用期間については特に触れられていません。
しかし、試用期間であっても雇用関係は成立しますので、試用期間として雇い入れた場合も該当すると考えられます。つまり、試用期間も勤続年数に加算するということです。
なお、労働基準法では、試用期間は「試みの使用期間」と記載されていて、次の2ヶ所だけに出てきます。
- 平均賃金を計算する際に、「試みの使用期間」は除外して計算すること【労働基準法第12条】
- 解雇の予告の手続きについて、「試の使用期間中の者」(入社後2週間以内)は適用を除外すること【労働基準法第21条】
労働基準法上は、これ以外のケースで、試用期間(試みの使用期間)だからといって、特別な取扱いをすることは想定されていません。試用期間も、通常の本採用後と同様に取り扱われます。
また、雇用保険や社会保険(健康保険と厚生年金保険)に関しても、試用期間中は加入手続きをしていないという会社がありますが、それは間違い(法律違反)です。
試用期間中であっても、それぞれ加入要件を満たしている場合は、試用期間として雇い入れた日から加入する義務があります。
ただし、会社独自の(法定外の)制度については、会社が自由に決められます。
例えば、退職金の支給額を計算する際に試用期間を勤続年数に含めなかったり、試用期間中の従業員には休職を適用しなかったり、試用期間かどうかによって異なる取扱いをすることは可能です。
その場合は、就業規則に取扱いのルールを具体的に記載しておく必要があります。
もっと詳しく
- 労働基準法 第39条<有給休暇の付与>【なるほど労働基準法】
- 労働基準法 第12条第3項<平均賃金から除外する期間>【なるほど労働基準法】
- 労働基準法 第21条<解雇予告が不要な従業員>【なるほど労働基準法】
- 試用期間【労務管理の知恵袋】
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