自動車の運転と病歴(てんかん等)の確認

自動車の運転と病歴(てんかん等)の確認

仕事で自動車を運転する従業員に、てんかん等の病歴がないか確認しても良いですか?

自動車を運転する従業員については、てんかんに限らず、自動車事故の発生に繋がる恐れのある病気や症状がないか、確認することが望ましいです。

労働契約法(第5条)によって、次のように規定されています。

安全配慮義務と呼ばれる規定で、会社は従業員が安全に勤務できるように、配慮することが義務付けられています。

そのため、従業員に危険が及ぶことを想像できる場合は、会社は危険を回避するよう努力しないといけません。それを怠って、従業員が負傷したりしたときは、会社は損害賠償を請求されます。

したがって、業務で自動車を運転する場合は、会社はできる限りの努力をして、交通事故を未然に防止することが求められます。

例えば、自動車を運転している最中に、運転者が意識を失って交通事故を発生させるケースがあります。このような交通事故を防止するために、自動車運転免許を取得・更新する際は、病気の症状に関する質問に回答することが義務付けられるようになりました。

また、次の病気にかかっている場合は、医師の診断書の内容によって、運転免許の更新を拒否されたり、取り消されたりすることがあります。

  1. 認知症
  2. 統合失調症
  3. てんかん
  4. 再発性の失神
  5. 無自覚性の低血糖症
  6. そううつ病
  7. 重度の眠気の症状を呈する睡眠障害
  8. 自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈する病気

これに伴って、厚生労働省から通達が出されて、業務で自動車を運転する従業員については、雇入れ及び定期健康診断の際に、次のような症状の有無を確認することが望ましいとされています。

業務で自動車を運転する従業員については、採用面接や定期健康診断の際に確認してください。

ただし、健康情報はデリケートな事柄ですので、「仕事で自動車を運転してもらいますが、交通事故の未然防止のために確認したい」、「通達でも確認することになっています」と、質問の趣旨や根拠を説明することが大事です。

口頭で確認するより、後から確認できる方法で確認することが望ましいです。「社有車利用確認書」をダウンロードできるようにしました。

確認に加えて、医師の指導があったときは、自動車の運転の辞退を申し出ることができるようにしています。

そして、てんかん等の持病がある従業員については、医師の診断内容によりますが、基本的には、自動車を運転させないようにしてください。会社がその事実を知っていて、万一、運転中に意識を失って交通事故が発生すると、「防げた事故ではないか?」と、会社の責任が問われます。

なお、自動車の運転をしない従業員については、確認する必要性はありませんので、求めないでください。必要でない個人情報を求めると、漏洩のリスクが生じたり、トラブルの原因になります。


執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。中小零細企業の就業規則に関する悩みは全て解決いたします。日々の業務やホームページでは、分かりやすく伝えることを心掛けています。