賃金の支払いに関する計算書(給与明細書)

賃金の支払いに関する計算書(給与明細書)

  • 賃金を支払うときは、従業員に給与明細書(賃金の支払いに関する計算書)を交付していますか?
  • 各法令、及び、通達によって、賃金の支払日に、従業員に対して給与明細書(賃金の支払いに関する計算書)を交付することが義務付けられています。

【解説】

まず、健康保険の保険料については、健康保険法(第167条)によって、「事業主は、・・・保険料を控除したときは、保険料の控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならない。」と規定されています。

厚生年金保険の保険料については、厚生年金保険法(第84条)によって、「事業主は、・・・保険料を控除したときは、保険料の控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならない。」と規定されています。健康保険法と同じ内容です。

雇用保険の保険料については、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(第32条)によって、「事業主は、・・・被保険者の負担すべき額に相当する額を当該被保険者に支払う賃金から控除することができる。この場合において、事業主は、労働保険料控除に関する計算書を作成し、その控除額を当該被保険者に知らせなければならない。」と規定されています。

このように社会保険(健康保険と厚生年金保険)及び労働保険(雇用保険)の保険料については、それぞれの法律で、計算書(給与明細書)を作成して、控除した金額を従業員に通知することが義務付けられています。

また、所得税法(第231条)によって、「居住者に対し国内において給与等・・・の支払をする者は、財務省令で定めるところにより、その給与等・・・の金額その他必要な事項を記載した支払明細書を、その支払を受ける者に交付しなければならない。」と規定されています。

そして、従業員に交付する支払明細書に記載する必要がある事項として、財務省令(所得税法施行規則)によって、「給与等の金額、給与等から徴収された所得税の額」が定められています。

このように所得税についても、賃金から徴収した金額を記載した支払明細書(給与明細書)を、従業員に交付することが義務付けられています。

更に、賃金の口座振込み等に関する通達があって、次のように記載されています。

「使用者は、口座振込み等の対象となっている個々の労働者に対し、所定の賃金支払日に、次に掲げる金額等を記載した賃金の支払に関する計算書を交付すること。

  1. 基本給、手当その他賃金の種類ごとにその金額
  2. 源泉徴収税額、労働者が負担すべき社会保険料等賃金から控除した金額がある場合には、事項ごとにその金額
  3. 口座振込み等を行った金額」

以上を整理しますと、次の金額を記載した給与明細書(賃金の支払いに関する計算書)を作成して、本人に交付することになっています。

  1. 基本給や手当の種類ごとの金額
  2. 社会保険料や税金など、控除した項目ごとの金額
  3. 口座に振り込んだ金額

もちろん、1.の支給総額から、2.を控除した金額が、3.になっている必要があります。なお、給与明細書(賃金の支払いに関する計算書)の様式は特に決められていません。

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