最低賃金
最低賃金
- 最低賃金以上の賃金を支払っていますか?
- 最低賃金法により、最低賃金額以上の賃金を支払うことが義務付けられています。このときに、計算に含められない賃金(手当)があることに注意しないといけません。
【解説】
最低賃金については、最低賃金法の第4条で、次のように規定されています。
「使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。」
最低賃金額は、その地域の生活費、賃金、通常の会社の賃金支払能力を考慮して、都道府県ごとに決定されます。
また、最低賃金額は、1時間単位で定められ、毎年10月頃に改定されています。
最低賃金額以上かどうかを確認する場合、時間給制の場合は簡単です。支払っている時間給と最低賃金額を比較します。
日給制の場合は、その日給を「1日の所定労働時間」で割って、1時間当たりの金額に換算して、最低賃金額と比較します。
月給制の場合は、その月給を「1ヶ月の平均所定労働時間」で割って、1時間当たりの金額に換算して、最低賃金額と比較します。
例として、月給が16万円、「1ヶ月の平均所定労働時間」が170時間とすると、1時間当たりの金額は941.1円になります。
このときに、月給に含められない手当(賃金)があることに注意しないといけません。次の手当(賃金)は除外して計算する必要があります。
- 割増賃金(時間外勤務手当、休日勤務手当、深夜勤務手当)
- 精皆勤手当
- 通勤手当
- 家族手当
- 賞与
- 臨時に支払われる賃金(結婚祝金など)
最低賃金は、所定労働時間“内”の勤務に対して支払う通常の賃金を対象としますので、所定労働時間“外”の勤務に対して支払う割増賃金(残業手当)は対象外になります。
最近は、割増賃金(残業手当)を定額で支払う会社が増えていますが、その金額を除外して計算すると、最低賃金を下回ってしまうケースがあります。
また、精皆勤手当は出勤不良の月は支払われませんし、通勤手当と家族手当は福利厚生として支払われる手当で、こちらも引っ越しや被扶養者の就職等で急に不支給になることが想定されます。
そのような事情を想定した上で、最低賃金額以上の賃金を支払うことが求められます。
そして、最低賃金を下回っている場合は法律違反になり、最低賃金法では罰則として、50万円以下の罰金が定められています。
また、最低賃金を下回る労働契約は許されませんので、その労働契約は無効になり、最低賃金が適用されて、(2年前まで)さかのぼって差額を支払わされることになります。
都道府県ごとに「地域別最低賃金」が設定されることを紹介しましたが、例外的に、特定の産業ごとに「特定最低賃金」が設定されることがあります。
特定の産業に該当する会社で、「地域別最低賃金」より「特定最低賃金」の方が高額の場合は、「特定最低賃金」が適用されます。「特定最低賃金」はこちらで確認できます。