雇入時の健康診断の実施と省略
雇入時の健康診断の実施と省略
- 従業員を採用するときは、健康診断を実施していますか?
- 労働安全衛生法によって、従業員を雇い入れるときは、健康診断を実施することが義務付けられています。
【解説】
労働安全衛生法に基づいて、毎年1回、定期健康診断を実施していると思いますが、雇入時の健康診断については、実施が漏れている場合があります。
雇入時の健康診断として、労働安全衛生規則によって、次のように規定されています。
事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、3ヶ月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。
- 既往歴及び業務歴の調査
- 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
- 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
- 胸部エックス線検査
- 血圧の測定
- 血色素量及び赤血球数の検査
- 肝機能検査
- 血中脂質検査
- 血糖検査
- 尿検査
- 心電図検査
規定では、「常時使用する労働者を雇い入れるとき」となっていますので、全ての従業員が対象ということではありません。「常時使用する労働者」とは、次の両方の要件を満たしている者とされています。
- 1年以上雇用する見込みがある者
- 1週間の所定労働時間が正社員の4分の3以上の者
言い換えると、次のどちらかに該当する者は、雇入時の健康診断は不要です。アルバイト、パートタイマー、契約社員等の雇用形態は関係ありません。
- 1年以内に退職することが明らかな者
- 1週間の所定労働時間が30時間未満の者(正社員の1週間の所定労働時間が40時間の会社)
また、健康診断を受けて3ヶ月以内の者を雇い入れる場合に、その健康診断の結果を会社に提出したときは、雇入時の健康診断が免除されます。
就業規則の採用時の提出書類として、「健康診断書」を定めて転職前の会社で受診した健康診断の結果の提出を求めることがありますが、3ヶ月より前に受診した健康診断の結果では免除されません。
その場合は、雇入時の健康診断を実施する必要があります。ただし、1年以内に会社で行う定期健康診断は省略できます。
雇入時の健康診断は、いつまでに実施しなければならないという期限が具体的に設定されていません。入社前は3ヶ月前まで認められることから、入社後も3ヶ月後までは認められるという見解があります。
また、雇入時の健康診断は、適正配置、入職後の健康管理に役立てることを目的として行うものです。試用期間は3ヶ月としている会社が多いので、3ヶ月以内であれば目的に反しないと考えることもできます。
したがって、入社して3ヶ月以内に定期健康診断の実施を予定している場合は、それを雇入時の健康診断とすることも可能です。

執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。中小零細企業の就業規則に関する悩みは全て解決いたします。日々の業務やホームページでは、分かりやすく伝えることを心掛けています。

