雇入時の健康診断

雇入時の健康診断

  • 従業員を採用するときは、健康診断を実施していますか?
  • 労働安全衛生法により、従業員を雇い入れるときは健康診断を行うことが義務付けられています。

【解説】

労働安全衛生法に基づいて、毎年1回は定期健康診断を実施していると思います。

労働安全衛生法では、定期健康診断の他に、雇入時の健康診断についても規定されています。まず、労働安全衛生法によって、次のように定められています。

「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければならない。」

ここでは健康診断を行うことだけが規定されていて、具体的には「厚生労働省令で定める」ことになっています。そして、厚生労働省令(労働安全衛生規則)では、雇入時の健康診断について、次のように定められています。

「事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、3ヶ月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。」

この後に、診断項目が列挙されています。

この規定では、「常時使用する労働者」となっています。つまり、全ての従業員が対象ということではありません。「常時使用する労働者」とは、次の要件を“両方とも”満たす者とされています。

  1. 無期契約で雇用した者、又は、有期契約で1年以上雇用することを予定している者
  2. 1週間の所定労働時間が30時間以上の者(正社員の1週間の所定労働時間が40時間の会社の場合)

したがって、1週間の所定労働時間が30時間未満の者、又は、1年以上雇用する見込みがない者、のどちらかに該当する場合は対象外になります。

なお、これに該当する従業員については、定期健康診断についても対象外になります。パートタイマー等の雇用形態は関係ありません。

また、健康診断を受けて3ヶ月以内に雇い入れる場合に、その健康診断の結果を会社に提出したときは、雇入時の健康診断が免除されることも規定されています。

転職前の会社で受診した健康診断の結果を提出してもらうケースがありますが、3ヶ月より前に実施した健康診断の結果では免除されません。その場合は、雇入時の健康診断を実施しないといけません。ただし、1年以内に会社で行う定期健康診断を省略できます。

雇入時の健康診断は、いつまでに実施しなければならないという期限が具体的に設定されていません。入社前は3ヶ月前まで認められることから、入社後も3ヶ月後までは認められるという見解があります。

また、雇入時の健康診断は、適正配置、入職後の健康管理を目的として行うものとされています。試用期間を3ヶ月としている会社が多いことから、3ヶ月以内であれば目的に反しないと考えることもできます。

したがって、入社して3ヶ月以内に会社で定期健康診断の実施を予定している場合は、それを雇入時の健康診断とすることも可能と考えられます。

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