1ヶ月単位の変形労働時間制の上限時間

1ヶ月単位の変形労働時間制の上限時間

1ヶ月単位の変形労働時間制を導入しようと考えているのですが、出勤日と労働時間を設定すると、どうしても1ヶ月を平均して1週40時間を超えてしまいます。超えた時間に対して、割増賃金を支払えば問題はないでしょうか?

形式上、所定労働時間は1ヶ月を平均して1週40時間以内で設定する必要があります。その上で、それを超えた時間に対して、割増賃金を支払う必要があります。

「1ヶ月を平均して1週40時間を超えた時間」=「法定労働時間を超えた時間」ですので、当然、時間外労働として割増賃金(時間外勤務手当)を支払わないといけません。しかし、割増賃金を支払えば問題はないということにはなりません。

労働基準法では、1ヶ月単位の変形労働時間制について、次のように規定されています。

使用者は、・・・就業規則その他これに準ずるものにより、1ヶ月以内の一定の期間を平均し1週間当たりの労働時間が前条第1項の労働時間を超えない定めをしたときは、同条の規定にかかわらず、その定めにより、特定された週において同項の労働時間又は特定された日において同条第2項の労働時間を超えて、労働させることができる。

就業規則に、1ヶ月を平均して1週間の労働時間を40時間以内とすることを定めたときは、1日8時間又は1週40時間を超えて労働させることができるようになります。

要するに、1ヶ月を平均して1週40時間の範囲内であれば、労働時間が1日8時間を超える日又は1週40時間を超える週があったとしても、割増賃金の支払いは不要ということです。

就業規則に、1ヶ月を平均して1週間の労働時間を40時間以内とすることを定めるのであれば、実際の取扱いもこれに従う必要があります。

各月の暦日の数に応じて、1ヶ月の所定労働時間の合計は、次の時間が上限になります。

暦日所定労働時間の上限
31日の月177.1時間(=40時間/7日×31日)
30日の月171.4時間(=40時間/7日×30日)
29日の月165.7時間(=40時間/7日×29日)
28日の月160.0時間(=40時間/7日×28日)

例えば、31日の月で、1日の所定労働時間を8時間、1ヶ月の所定労働日数を23日とすると、所定労働時間は月184時間(8時間×23日)になりますので、上限を超えてしまいます。

1ヶ月の所定労働日数を22日とすれば、所定労働時間は月176時間(8時間×22日)となって、上限内に収まります。減らした1日は形式上は休日として、休日労働や時間外労働として出勤を命じることになります。

もしくは、1日の所定労働時間を7時間40分にすれば、1ヶ月の所定労働日数が23日でも、所定労働時間は月176時間20分となって、上限内に収まります。

各月ごとにこのような工夫や設定をするのが面倒な場合は、労働基準監督署への届出が必要になりますが、1年単位の変形労働時間制の方が合っているかもしれません。1年単位の変形労働時間制については、労使協定の締結と届出が必要で、就業規則に規定するだけでは導入できません。