タイムカードと労働時間(残業時間)

タイムカードと労働時間(残業時間)

出退勤の管理はタイムカードで行っているのですが、従業員が出社したタイミングで各自タイムカードを打刻していて、実際に仕事を始める時刻まで数十分のずれが生じることがあります。このずれた時間は残業時間になったりするのでしょうか?

実際に仕事をしていなければ残業時間(労働時間)にはなりませんが、トラブルの原因になりますので、現在の取り扱いは改めた方が良いです。

労働時間に対して賃金(残業手当)を支払う義務があります。これが大原則です。

従業員が出社してから始業時刻(実際に仕事を始める時刻)まで、例えば、新聞を読んだり、同僚と世間話をしたりしていた場合は、その時間は労働時間ではありませんので、賃金(残業手当)を支払う義務はありません。

しかし、仮に、従業員から「残業手当の未払いがある」と主張されたときに、労働時間を証明できる物がタイムカードしかなければ、タイムカードの打刻時間が労働時間として採用される可能性が高いです。

つまり、本来は労働時間(残業時間)ではないにもかかわらず、賃金(残業手当)を支払わされる危険性があります。

したがいまして、トラブルを防止するためには、出社した時刻ではなく業務を始める直前に打刻、退社した時刻ではなく業務を終えた直後に打刻するよう指導して、実際の労働時間とタイムカードの打刻時間の誤差をできるだけ小さくしてください。

また、残業(時間外勤務や休日勤務)をするときは、予め所属長から(例えば、30分単位で)承認を得ることをルールにして、書類で管理していれば、その書類が残業時間を示す証拠となります。

ただし、所属長が承認しない場合は帰らせたり、実際にその方法(承認制)を徹底していることが大事です。中途半端に未承認のまま残業を黙認していたりすると、証拠として認められません。