シフト時間の短縮

シフト時間の短縮

当社では、アルバイトの勤務時間はシフト制で決定していますが、アルバイトの1人から「シフトで入る時間を減らさないで欲しい」と言われました。シフトの時間を減らすことは問題がありますか?

アルバイトを採用したときに雇用契約書を交付して、本人に労働条件を明示していたと思いますが、所定労働時間について、どのように記載していたのかによります。

労働基準法によって、従業員を採用するときは、雇用契約書を交付して、始業時刻、終業時刻、休日、賃金等の労働条件を明示することが義務付けられています。

労使間の思い違いを防止するために定められた規定で、アルバイトや正社員等の雇用形態に関係なく、全ての従業員に対して明示する必要があります。

例えば、「始業時刻は9時、終業時刻は18時、休憩時間は1時間、休日は土・日・祝日」と一律に決まっている場合は、労使間で思い違いが生じることはありません。

シフト制で、始業時刻、終業時刻、休日を具体的に明示できない場合は、決定方法を記載する必要があります。その場合に、「シフト表による」と記載するだけでは不十分で、労使間で思い違いが生じないように、次のように、シフトの目安や範囲を明らかにすることが重要です。

繁忙期や閑散期があれば口頭で伝えて、シフト勤務の時間が明示した範囲内で変動する場合は差し支えありません。

また、1週40時間のフルタイムで勤務をする正社員に対して、36協定で締結した範囲内で時間外労働や休日労働を命じることができます。シフト制で勤務をするアルバイトについても、雇用契約書に時間外労働や休日労働があることを明示していれば、必要に応じて、時間外労働や休日労働を命じることができます。

例えば、雇用契約書で1週間の所定労働時間を24時間と定めていて、1週間に12時間の時間外労働が続いた後に、週24時間のシフトに戻した場合は、アルバイトから求めがあったとしても、週36時間のシフトにする必要はありません。

反対に、1週間の所定労働時間を36時間と定めていて、週24時間のシフトに減らすと、収入が減少してアルバイトの生活に支障が生じます。シフトを増やす場合は問題になるケースは少ないですが、シフトを減らす場合は”シフトカット”と呼ばれて、トラブルの原因になりやすいです。

そして、月給制の正社員について、会社の都合で休業させた場合は、労働基準法によって、休業手当(平均賃金の6割)を支払うことが義務付けられます。会社の都合でシフトの時間を減らした場合も、会社の都合で休業させたものとして、休業手当(平均賃金の6割)を支払う必要があります。

また、労働時間が変動して、雇用保険や社会保険(健康保険と厚生年金保険)の加入基準を超えたり、超えなかったりしていると、加入義務の有無(保険料の負担等)に関するトラブルが生じます。1週20時間や1週30時間を意識してシフトを決定する必要があります。

もし、1週間又は1ヶ月の所定労働時間を明示していなかった場合は、本人と話し合って改めて決定することが望ましいです。

アルバイトが「シフトを減らされた」と言って、それに反論できる証拠や減らさざるを得ない合理的な理由がなければ、これまでの慣行が優先されて、アルバイトの主張が認められる可能性が高いです。そうなると、減らす前の労働時間に戻さないといけません。