シフト時間の短縮(シフトカット)
シフト時間の短縮(シフトカット)
アルバイトの労働時間はシフト制で決定していますが、アルバイトの1人から「シフトで入る時間を減らさないで欲しい」と言われました。シフトの時間を減らすことは問題がありますか?
アルバイトを採用したときに、雇用契約書や労働条件通知書を交付して、本人に労働条件を明示していたと思いますが、所定労働時間について、どのように記載していたのかによります。
労働基準法(第15条)によって、従業員を採用するときは、書面(雇用契約書や労働条件通知書)を交付して、労働条件(始業時刻、終業時刻、休日、賃金など)を明示することが義務付けられています。
労働条件について、労使間の思い違いを防止するために定められた規定で、アルバイトやパートタイマーなど、雇用形態に関係なく、全ての従業員(労働者)に対して明示する必要があります。
そして、例えば、「始業時刻は9時、終業時刻は18時、休憩時間は12時から13時まで、休日は土・日・祝日」と一律に決まっている場合は、それを明示すれば労使間で思い違いが生じることはありません。
一方、シフト制で、始業時刻、終業時刻、休日を具体的に明示できない場合は、決定方法を記載して明示する必要があります。その場合に、「シフト表による」と明示するだけでは不十分で、労使間で思い違いが生じないように、次のように、シフトの目安や範囲を明らかにすることが重要です。
- 一定期間(1週間や1ヶ月など)の所定労働時間及び所定労働日数の目安
- 一定期間(1週間や1ヶ月など)の所定労働時間及び所定労働日数の下限・上限
繁忙期や閑散期があれば、口頭で伝えて、シフトの労働時間が明示した範囲内で変動する場合は差し支えありません。
また、36協定を締結して労働基準監督署に届け出れば、従業員に時間外労働や休日労働を命じることができます。
シフト制で勤務をするアルバイトやパートタイマーについても、雇用契約書や労働条件通知書に、時間外労働や休日労働があることを明示していれば、必要に応じて、時間外労働や休日労働を命じることができます。
例えば、雇用契約書で、1週間の所定労働時間を24時間と定めていて、1週間に12時間の時間外労働をして、実働が1週36時間の勤務がしばらく続いて、その後、1週24時間のシフトに戻した場合は、アルバイトから求めがあったとしても、1週36時間のシフトにする必要はありません。
一方、1週間の所定労働時間を36時間と定めていて、実際に1週24時間のシフト勤務が続くと、見込んでいたより収入が減少してしまいます。
シフトを増やす場合は「シフトに入れるかどうか」という程度で、大きな問題になるケースは少ないですが、シフトを減らす場合は賃金の減少に直結しますので、トラブルになりやすいです。”シフトカット”と呼ばれています。
そして、労働基準法(第26条)によって、会社の都合で休業させた場合は、従業員に平均賃金の60%以上の休業手当を支払うことが義務付けられています。
会社の都合でシフトを減らした場合も、労働基準法上は会社の都合で休業させたことになりますので、休業手当(平均賃金の60%以上)を支払う必要があります。
また、労働時間が変動して、雇用保険や社会保険(健康保険と厚生年金保険)の加入基準を超えたり、超えなかったりしていると、加入義務の有無(保険料の負担等)に関するトラブルが生じます。1週20時間や1週30時間を意識してシフトを決定する必要があります。
アルバイトが「シフトを減らされた」「シフトの労働時間を元に戻して欲しい」と言って、会社がそれに反論できる証拠を提示できないと、労働者保護が優先されて、アルバイトの主張が認められる可能性が高いです。
もし、一定期間(1週間や1ヶ月など)の所定労働時間や所定労働日数を明示していなかった場合は、本人と話し合って改めて決定するべきです。シフトの時間を減らさざるを得ない場合は、会社から丁寧に説明をして、本人から理解を得ることが重要です。

執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。中小零細企業の就業規則に関する悩みは全て解決いたします。日々の業務やホームページでは、分かりやすく伝えることを心掛けています。

