直行・直帰の移動時間は労働時間?

直行・直帰の移動時間は労働時間?

自宅から客先に直行して作業をする場合は、労働時間はどのように計算すれば良いですか?

その場合は、客先で作業を開始した時刻以降が労働時間になります。自宅から客先に直行する場合の移動時間は通勤時間と同じで、労働時間には該当しません。

労働時間とは、会社の指揮命令下にある時間のことを言います。会社から従業員に指示できる時間と考えて差し支えないと思います。

通勤時間は、携帯端末を操作したり、音楽を聞いたり、従業員は自由に過ごせます。会社がそのような行為を禁止することはありませんので、会社の指揮命令下にないと考えられます。したがって、通勤時間は労働時間には当たりません。

自宅から客先に直行する場合の移動時間についても、通勤の場合と同様に、自由に過ごせる場合は労働時間には当たりません。移動時間に対して、賃金を支払う必要はありません。

また、客先から自宅に直帰する場合の移動時間についても、途中で食事をしたり、買物をしたりすることが可能な場合は同様に、労働時間には当たりません。

一方、直行・直帰ではなく、自宅から会社に出勤して、その後に客先まで移動する時間については、普通は自由に過ごせません。移動時間中に、例えば、パチンコをしている従業員を見付けたときに会社から注意をする場合は、会社の指揮命令下にあるものとして、移動時間は労働時間に当たります。

1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超える場合は、時間外労働の割増賃金を支払う必要があります。

また、客先から会社に戻って、その後に会社から帰宅する場合も、パチンコを禁止したりして、会社から従業員に指示できる状態であれば、客先から会社まで移動する時間は労働時間に当たります。その後の会社から帰宅する時間は通勤時間ですので、労働時間には当たりません。

原則的には、会社に出勤してから退勤するまでの移動時間は、労働時間に当たります。直行・直帰する場合の移動時間は、通勤時間と同じで労働時間には当たりません。

例外的に、便宜上、会社に集合してからグループで、会社が用意したバス等で現場に向かう場合は、会社から現場までの移動時間が労働時間に当たらないケースもあります。その場合も、会社の指揮命令下にあるかどうかで判断します。

ところで、直行・直帰をして、労働時間の算定が困難な場合は、事業場外労働のみなし労働時間制を適用して、所定労働時間労働したものとみなす方法が認められています。

法律的には、以上のように考えられますが、直行・直帰をする客先が遠方で、通常より拘束時間が長くなる場合は、従業員から不満が生じると思います。そのようなケースを繰り返す場合は、不満を解消するために、出張旅費規程を作成して、(日帰り)日当を支給している会社もあります。


執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。中小零細企業の就業規則に関する悩みは全て解決いたします。日々の業務やホームページでは、分かりやすく伝えることを心掛けています。