直行・直帰の移動時間は労働時間か
直行・直帰の移動時間は労働時間か
従業員が早朝に自宅から客先に直行して作業をする場合は、労働時間はどのように計算すれば良いでしょうか?
その場合は、客先で作業(業務)を開始した時刻以降が労働時間になります。自宅から客先に直行する場合の移動時間は、労働時間には該当しません。
労働時間とは、会社の指揮命令下にある時間のことを言います。会社からコントロールを受けている時間と考えて差し支えないと思います。
通勤時間は、新聞を読んだり、音楽を聞いたり、何をするかは従業員の自由です。会社がそのような行為を禁止することはありませんので、会社の指揮命令下にないと考えられます。したがって、通勤時間は、労働時間にはカウントしません。
自宅から客先に直行する場合の移動時間についても、過ごし方は通勤の場合と同じで本人の自由ですので、労働時間にはカウントしません。移動時間に対して賃金を支払う必要はありません。
客先から自宅に直帰する場合の移動時間についても、途中で食事をしたり、買物をしたり、パチンコをしたり、映画を観たりすることが可能で、会社から制約を受けることはありません。同様に、労働時間にはカウントしません。
一方、直行・直帰ではなく、自宅から会社に出勤して、その後に客先まで移動する時間については、休憩時間でない限り、普通は自由に過ごせません(パチンコをしている従業員がいれば普通は注意をします)。会社の指揮命令下にあるものとして、この場合の移動時間は労働時間に当たります。
また、客先から会社に戻って、その後に帰宅したときも、客先から会社まで移動する時間は労働時間に当たります。客先と会社を往復する時間が、通勤時間と同様に考えられることはありません。
移動時間は原則的には労働時間に当たりますが、例外的に、直行・直帰する場合の移動時間については、通勤時間と同じで労働時間には当たりません。
また、直行・直帰をして、労働時間の算定が困難な場合は、事業場外労働のみなし労働時間制を適用して、所定労働時間労働したものとみなすケースもあります。
法律的には、以上のように考えられますが、直行・直帰をする客先が遠方で、通常より拘束時間が増える場合は、従業員から不満が生じると思います。そのようなケースを繰り返す場合は、不満を解消して気持ち良く働いてもらうために、出張旅費規程を作成して、(日帰り)日当を支給している会社もあります。