1週44時間勤務が認められる企業とは
1週44時間勤務が認められる企業とは
当社は介護施設を立ち上げて、職員数が6人ですが、1週44時間勤務とすることができますか?
労働基準法によって、従業員数が10人未満の介護施設等は、1週間の所定労働時間を44時間とすることが認められています。ただし、職員数を増やす場合や労働条件を変更する場合は注意が必要です。
労働基準法によって、原則として、1日8時間及び1週40時間を超えて労働させることが禁止されています。
したがって、1日の所定労働時間は8時間以内、かつ、1週間の所定労働時間は40時間以内に設定する必要があります。これを超えた労働時間は、時間外労働として割増賃金(残業手当)の支給対象になります。
ただし、労働基準法の施行規則によって、次の業種に該当して、従業員数(パートタイマーやアルバイト等も含みます)が10人未満の企業については、1週44時間まで労働させることが、特例として認められています。ただし、1日8時間の基準は変わりません。
- 商業・・・卸売業、小売業、理美容業、倉庫業、その他の商業
- 映画・演劇業・・・映画の映写、演劇、その他興業の事業
- 保健衛生業・・・病院、診療所、社会福祉施設、浴場業、その他の保健衛生業
- 接客娯楽業・・・旅館、飲食店、ゴルフ場、公園・遊園地、その他の接客娯楽業
したがって、1日の所定労働時間を7時間20分として、週6日出勤という働き方が可能になります。1週間の所定労働時間は44時間ですので、この範囲内で勤務をしていれば、割増賃金を支払う義務はありません。
また、1ヶ月単位の変形労働時間制、フレックスタイム制を導入する場合も、1ヶ月を平均して1週44時間の範囲内で設定することが可能です。しかし、1年単位の変形労働時間制については不可能で、1週40時間の基準が適用されます。
1ヶ月単位の変形労働時間制を導入する場合は、1ヶ月を平均して1週44時間の範囲内であれば、1日の所定労働時間が8時間を超えても問題はありません。
例えば、1日の所定労働時間を8時間45分として、週5日出勤とする方法も可能です。1日8時間を超えていますが、1週44時間の範囲内です(1週43時間45分になります)ので、割増賃金を支払う義務はありません。
企業にとっては、賃金及び割増賃金の支給額(人件費)を抑制できますので、大きなメリットがあります。一方、従業員にとっては、他社と比較して、労働時間が長い割に賃金が低いと受け取られて、採用活動が難しくなるかもしれません。
そして、従業員数が増加して10人以上になったときは、原則どおり、1週40時間の基準が適用されます。所定労働時間は1週40時間以内にして、1週40時間を超えた労働時間に対して、割増賃金を支払う義務が生じます。
1週44時間から1週40時間に切り替えると、企業は急激な負担増を強いられますので、1週44時間が認められる場合であっても、従業員の増加と共に徐々に1週40時間に近付けて準備をすることが望ましいです。
もしくは、事業の拡大を目指している場合は、最初から1週40時間を基準として労働時間を設定している企業もあります。
また、現在、1週40時間を基準として労働時間を設定している場合に、1週44時間勤務が可能であることを知って、1週44時間勤務に変更する場合は、従業員に説明をして同意を得る必要があります。会社が一方的に従業員の労働条件(賃金や労働時間など)を変更することはできません。